皆さんは、「公務員」について、特に身近な存在である「地方公務員」について、どう思いますか?
私は以前、公務員の仕事ぶりに対して、非常にネガティブな印象を持っていました。
「お日さん、西西」、「親方、日の丸」、「遅れず、休まず、働かず」、「税金どろぼう」・・・、思い浮かぶのはこんな言葉ばかりでした。
とにかく、公務員とは、仕事をしない人の代名詞みたいに思っていたのです。
昔は公務員が嫌いだった
さすがに最近は見かけなくなりましたが、昔の公務員は、仕事をしないことといったらなかったですよね。
近くの出張所に行くと、カウンター越しに見えるのは、
ラフな服装でぼーっと座っているだけのおっさん
爪や髪先をいじり倒しているおねえさん
こっくりこっくりと船を漕いでいるおばさん
スリッパ履きでペタペタと音を立てて歩いているおにいちゃん
こんなのばっかりでした。
もう、見るからにヒマそうで、仕事をしている素振りは一切ありませんでした。
かなり昔のある日、住民票か何かを取りに行ったときのこと。
チンタラしたおっさんがメンドくさそうに対応してきたのです。
こちらの申請書に不備があったようで、突っ返してきたのですが、そのときの返し方が、あまりにツッケンドンで、しかも命令口調で「書き直し」を言ってきたので、カチンときたのですね。
でも、まあ気持ちを抑えて「どこがどう問題なのか?」を質問しました。
すると、「それは答えられない」とわけの分からない返事をしてきたのです。
その瞬間、我慢しきれずに大声を出してしまいました。
別の人があわててやってきて、代わりに対応してくれたのですが・・・。
チンタラ公務員に対して腹の中では、
「この税金どろぼうが!仕事をしないくせに、エラそーにしやがって!」
と思いましたね。
そんな経験もあって、公務員のことは、ずーっと嫌いだったのです。
公務員、実は超大変
友人の話
結婚して子供ができると、親同士の付き合いが始まります。その中には何人か公務員がいました。
飲んでいる席で、一度、「公務員って、楽でいいよな」と話したら、半ギレになったのですね。
「俺たちが一体、どれだけ大変な仕事をしていると思ってるんだ!」
守秘義務のせいか、仕事内容は詳しくは言ってくれませんでした。
が、概要を聞いていると「ホントにそんなことやってるの?」と驚くことが多かったのです。
仕事相手を通じて
それから、渉外や対境の仕事をするようになり、行政対応も行っていました。
国(出先機関)・県・市・町と数十の行政機関の各部署の方々とやりとりをしていたのです。
その中で感じたことは、公務員の多くの人は、めちゃくちゃ頑張って仕事をしているということ。
ワンマンで自分の人気取りに血道を上げる首長
イチャモンつけまくりで職員を奴隷扱いする地方議員
聞く耳持たずで筋の通らぬ権利主張を声高に叫ぶプロ市民
・・・。
そんな相手に振り回されながら、ガチガチのルールの中で頑張って仕事をしているのです。
パパ友から聞いて想像していた以上に、公務員のハードな仕事っぷりを目の当たりにしてきました。
このような人たちは、「わかった」と言ったことは、責任を持って回してくれます。
決して上から目線ではなく、人の話はしっかりと聞いてくれるし、お願いごともちゃんと対応してくれます。理解力も実行力もある、人当たりも良いのです。
公務員の方々は、人格も、ビジネスパーソンとしての能力も、ともに高い人が本当に多いのです。
もちろんね、中には「お前、一体何様のつもりなんだ?」と言いたくなる態度の人も、そりゃぁいますよ。
日によって言うことが変わったり、回答や意見を求めても、のらりくらりで煮え切らない人もいます。
(田舎や小さな行政に、この手の人が散見されました)
でも、それはどんな会社にでもいるレベルであり、私が知る範囲では、この手の人は少数派でしたね。
私自身、公務員の友人や知り合いができて、一緒に仕事をして事実を見るようになると、私の公務員に対する印象は、大幅に良くなっていきました。
寄生虫公務員って本当にひどい
一昨年、仕事も近所付き合いも全く関係のない公務員の人と知り合いました。
とある市の職員です。
その人に、「公務員って優秀な人が多いよね」って言うと、パパ友とは全く逆の反応をしたのです。
「いや、そうとも言えない。実は本当にひどいのがいっぱいいる。そんな奴らは、確信犯的に仕事で楽をしてるんだよ。
早くクビにすればいいのに、っていつも思う。ああいうのがいるから、公務員は『税金どろぼう』って言われるんだよ」
こう言って、続けたのが、
- とにかく、仕事をやらない・やりたがらない。それ以前に、仕事ができない人が多すぎる。
- 本来、担当としてやらなければならない仕事も、自分でやらないから、周りの人間が仕方なくやってしまう。
- 本人は、それに対して何の負い目も引け目も感じない。どころか、周りがやってあたりまえのようにすら思っている。
- 無理やりやらせたら、あっという間にグチャグチャにしてしまうので、後始末の方が余計に大変。
- 市民対応させたら、クレームだらけですぐに大問題になる。だから、市民の目に触れない部署で、市民に直接対応しなくてもよい仕事を当て込んでいる。
- 全く仕事をしないくせ、年は取っているから、給料は高い。
- 何年かすれば定年になり退職金をたんまり貰うのに、再雇用で役所に居残る。すると、今の給料の80~90%くらいが、さらに5年間も継続して支払われる。
- こんな奴らの給料が、税金から支払われていると思うと、市民に申し訳ないと思う。まさに税金どろぼう。自分も一納税者として、むかっ腹が立っている。
- はっきり言って、やつらは寄生虫以外の何者でもない。
などなど。
こんな話を早口でブワァ~っと捲くし立てたのです。
「それって特定の誰かのことを指して言ってるんじゃないのか?」
と聞くと、
「いやいや、いろんな部署にゴロゴロいる。そんな奴らでも、部署要員の頭数にはカウントされるから、どこもかしこも慢性的な人手不足。だから、他の人間は、もの凄く働かざるを得ない」
との答え。
この手の話は、民間会社でもよく聞きますが、仕事をしない人の数と仕事をしないレベルが、役所はハンパなくひどいようなのです。
私が仕事で実際に接してきた中には、そこまでひどい人はいませんでした。
おそらく、この手の人たちには、対外的な仕事をさせていないので、接する機会がなかったのかもしれません。
そして、ひどい公務員が多数いるというのは、その市に限ったことでなく、多くの地方行政も同じ状況とも言っておりました。
この友人の話を聞いて、私が出張所で接したチンタラ公務員は、まさに寄生虫が市民に接する仕事を「させられていた」のだと思いました。
まだ、市民の目に触れないところに配属するとの差配ができていなかったからでしょう。
なぜ寄生虫公務員がたくさんいるのか?
民間会社では考えられないほど仕事をしない公務員、なぜこんなにたくさんいるのでしょうか?
その最大の理由は「クビにならない」からだと考えます。
民間会社の社員には、団結権、団体交渉権、争議権(スト権)の労働基本権が認められていますが、公務員は認められていない、もしくは、大きく制限されています。
警察や消防がストをしたら、街中、大変なことになりますので。
その代わり、公務員の身分は法律で保証されています。
もちろん、職務の公共性、行政の継続性、中立性を維持することも理由です。
政権交代などが起きるたびに、これまでの職員は全員クビとなると、これまた大変ですからね。
そして、納得の行かない処分をされたときは、人事院や人事委員会・公平委員会に不服申し立てできます。
ですから、給料が業績によって大きく下げられることも無ければ、解雇されることも極めて少ないのです。
仕事をしないくらいでは絶対にクビにならない・・・、何かの処分を受けても第三者機関に文句を言える・・・、こういう環境にいると、全く仕事をしない人間が出てくる、ということです。
寄生虫公務員の最大の被害者は?
仕事をするものにとって、その身分と権利が制度として保証されていることは、本当に重要です。
しかし、その制度の度が過ぎていると、悪用するものが出てきて、とんでもない状況になるのです。
世の多くの公務員は、日々、大変な激務をこなされています。そして、真摯に仕事に取り組まれています。コンプライアンスに対する感性も、非常に高いのです。
公務員の仕事に対して良くない印象を持っている方は、大多数の公務員は、しっかりと仕事をしていることを、是非、知っていただきたいと思います。
あわせて、しっかりと仕事をしている公務員こそが、寄生虫公務員の最大の被害者であるということも。
では、また。
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