人事異動で部署異動や担当替えがある会社で働いていると、それまで仕事をしてきた部署とは全く違う部署に異動になることがあります。
異動先が自分が行きたいと希望していたところだったらで、とても嬉しい人事になります。
そこまで良い人事ではなくても、ある程度イメージしていたものだったら、まあ納得できるでしょう。
でも・・・、その真逆も十分ありえますよね。
「あの部署だけには絶対に異動したくない!」
そう思っていた嫌な部署に配属されることになったら・・・。
当然、「絶対、異動したくない」という気持ちはとても大きなものでしょう。
そもそも、
「なんで、自分がこんな左遷のような人事異動を言われなきゃならないんだ?」
と腹立たしさでいっぱいになるはず。
上司に対しては「こんな人事異動を決めやがって!」とめちゃくちゃ腹は立つし、「バカヤロー!」と面と向かって罵倒してやりたくなるでしょう。
やりきれない思い、理不尽な思い、腹立たしい思い。
ストレスが破裂しそうになり
「こんな会社、もう、辞めてやる!」
と考えてしまうかもしれませんね。
納得のいかない人事異動を命じられたら、このように腹立たしくて、ストレスフルでネガティブな気持ちになって当たり前。
むしろ、そうならないほうがおかしいと言えるでしょう。
しかし、会社員である以上、いつ、こんな仕打ちを受けるかわかりません。
そして、今の会社に残って仕事を続けていく以上は、この人事異動を受け入れるしかありません・・・。
そのとき、一体、どうすべきか・・・。
そこで、こちらでは、人事異動で嫌な部署に配属となったときに行っていただきたい3つの行動を紹介します。
嫌な部署とは?
嫌な部署と一言で言っても、人によって嫌だと思う理由はさまざま。
ですが、嫌だと感じる理由は、
- 経験のない仕事を担当する
- 仕事の内容がとてもハードである
- 仕事の内容があまりにつまらない
- 社内的に下に見られている部署である
- 職場の雰囲気が悪い
- 自宅から遠くなる、引越しをしなければならない
といったところが代表的なものではないでしょうか。
これらを具体的に書くと・・・。
1の「経験のない仕事」とは、入社以来、営業の仕事しかしてこなかったのに、突然、経理に異動となった、というように全く知らない仕事をさせられるケース。
2の「仕事の内容がとてもハード」は、一人当たりの業務量が多いとか、クレーム対応などストレスが溜まりやすい業務、体力を要求される業務、あるいは、高度な知識・スキルが求められる業務といったことがあげられます。
3の「仕事の内容があまりにつまらない」は、決まりきったルーティンワークや他者のサポート(尻拭い)が中心で、仕事そのものにやりがいを感じられない部署への異動など。
4の「社内的に下」とは、会社の本流からはずれた部署や、そこに配属となっている人たちは皆、出世コースから脱落している人たちで、他の部署から「あそこはダメ」とか、「左遷コース」、「姥捨て山」と呼ばれる部署です。
5の「職場の雰囲気が悪い」は文字通りですが、イヤな上司や社員がいるなど個人が職場の雰囲気を悪くしている場合と、上に書いた2~4などが理由で、職場全体がギスギスしているという2つのケースに大別できるでしょう。
6の「自宅から遠くなる、引越しをしなければならない」も、そのまんま。通勤の負担が重くなる、日常生活に支障がでるといったことが上げられます。
これらがひとつか複数あるときに、「嫌な部署」と感じるのではないでしょうか?
人事異動の内示が出て何をすべきかで悩んでいる方はこちらの記事をご覧ください。
突然の内示が出たときに、あなたがやるべきことが分かります。
関連記事 人事異動の「内示」が出たら、必ずやりたい5つのこと
人事異動の内示がひどすぎて断ろうかと悩んでいる方はこちらの記事をご覧ください。
そもそも内示とは何か、断ったらどうなるのか、そして、ひどい人事異動を命じられずに済む方法が分かります。
関連記事 人事異動の「内示」を断るとどうなるのか?
なぜ、嫌な部署に異動となったのか?
「嫌な部署」は、あなたにとって「嫌」ということですが、現に会社の中で存在している部署でもあり、基本的には会社にとって必要な業務を担っている部署でもあります。
そこで、なぜあなたが、その部署に異動となったのか、冷静に考えてみましょう。
会社が行う人事異動は、大きく分けると、
- 適材適所の人員配置を行う(会社の都合)
- 社員のキャリア形成を図る(会社が考える社員の都合)
の2つの理由によって行われており、入社してからある程度の年齢になるまでは、通常、この両方の理由で人事異動が行われるものです。
(一定の年齢以上や役付きとなった「出来上がった社員」は適材適所という会社の都合のみの異動となります。ダメ社員もマイナスの適材適所での異動となります・・・)
そして、あなたがまだ若い方でしたら、あなたにとって「嫌な部署」への人事異動は、実はあなたのキャリア形成に重きを置いて行われるケースがとても多いのです。
上の「嫌な部署とは?」に書いた1から3の仕事の質が変わる人事異動には、若手の社員に広く仕事の経験を積ませることによって、スキルアップを図ってもらうという目的があります。
4から6の職場の質が変わる人事異動は、環境変化を経験することによってメンタリティを強めてもらうという目的です。
内示を受けたとき、上司から、
「あなたには、どこそこの部署に異動してもらうことになりました。そこではYYという仕事を担当してもらいますが、がんばって一日も早く〇〇となることを期待しています」
との言があったはずですが、〇〇ではあなたに期待される仕事の成果か、もしくは、キャリア形成におけるあなたの成長期待が語られたことでしょう。
あなたに期待されていることが上に記した
- 経験のない仕事を担当する
- 仕事の内容がとてもハードである
- 仕事の内容があまりにつまらない
であれば、〇〇では、
- もっと広く経験をして成長してください
- 厳しい仕事ですがあなたならクリアできるはずです
- 地道な仕事ですがより一層成長する機会としてください
などとストレートに伝えられます。
しかし、
- 社内的に下に見られている部署である
- 職場の雰囲気が悪い
- 自宅から遠くなる、引越しをしなければならない
の場合だと、その理由はボカした言い方となります。
というのも、これらはあなたを
「崖から突き落として、這い上がってくるのを待つ」
ような人事異動ですから、上司としてはストレートに伝えることができないのです。
ただ、これらの理由は、あなたの成長に対する「会社の期待と意向」と言って良いのですね。
もちろん、「会社の期待と意向」にあなたが納得できるかどうかは、全く別問題ではありますので、とても腹立たしい思いで一杯になってしまうわけですが・・・。
それと、人事異動の理由が「たまたま、お鉢が回ってきた」といった程度の場合も多々あります。
この場合だと、上に書いた「会社の期待と意向」という目的は、後からくっ付けられるものですが・・・、それでも、会社はあなたに対して期待していることに違いありません。
「ヒドイ人事」を命じられて腹立たしく思っている方はこちらの記事をご覧ください。
左遷や降格を命じられた本人には計り知れない人事の裏側が分かります。
参考 部下が突然「退職する」と言い出したら上司はとっても困るものです
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嫌な部署に異動となったら行うべき3つのこと
ここまで述べてきたように、今回の人事異動は、あなたにとっては残念ながら嫌な部署への配属となりますが、会社はあなたに期待しているからこその異動なのです。
そして、今の会社で仕事を続けていくのであれば、「嫌だ」という気分をいつまでも引っ張ったまま新しい部署に赴いても、あなたにとって良いことは何一つありません。
そこで、嫌な部署に配属となったときに行っていただきたい3つの行動をご紹介します。
嫌な理由を考える
まず第一に、やっていただきたいのは、「なぜ、その部署に異動するのが嫌なのか」を、もう一度、冷静に考えることです。
「どう考えたって、自分は異動先での仕事に向いていない」
と思っている人、本当にそうでしょうか?
「今の仕事が好き」「新しい仕事を覚えるのが嫌」
と思っている人、あと何十年も今行っているのと同じ仕事を続けたいと思っていますか?
「周りの目が気になる」「耐えられない」
と思っている人、一度、やってみてから判断しても遅くないのでは?
嫌な部署と思っているけれど、実態は別にして、ただ「自分が知らないこと」「未だ経験していないもの」「他人の低評価」に対して感覚的に拒否していることって、結構、あるんですよね。
やってみて、慣れてきたら「大丈夫だった」「おもしろかった」「聞いていたのと違っていた」という話はよくあること。
自分に経験がないからとか、周りの評判がそうだからというのが嫌な理由であれば、案外、ただの思い込みかもしれませんよ。
スキルアップ・キャリアアップを図る
特に若手の方に意識していただきたいこととして、
新しい部署への異動は、自分のスキルアップやキャリアアップを図るチャンス
と捉えてみてください。
そして、
新しい部署での仕事で、どのようなスキルアップができるか?
自分の持っているスキルを新しい部署でどのように発揮できるか?
両者を組み合わせたときに、どんな応用が効くか?
自分には合わないと思える環境の中で生き延びるには、どんなスキルが必要か?
嫌な部署で生き延びた後、どんな展望を開くことができるのか?
を考えてみて下さい。
人事異動を前向きに捉えられたら、新しい職場でも前向きの課題がたくさん見えてきます。
嫌な部署への配属は、長い会社員人生の中での大きなチャンスと気持ちを切り替えることができると、本当に世界が広がって行きますよ。
今後のキャリアプランを見直す
ご自身で、どのような会社員人生を歩むか、キャリアアップを図っていくか、これまでに考えていたプランをお持ちでしょう。
例えば、営業畑の人は、今は個人営業担当だけれど、数年後には法人営業担当になり、10年後には営業所長になる、といったサラリーマンとしての人生設計のことです。
だけど、人事異動という大きな転機をきっかけに、仕事や環境が変わっていく以上、今後のキャリアを見直す必要が出てきたわけです。
「営業から経理に変わった。さて、この先どうして行こうか?」を考えなければなりませんので。
人事異動を前向きに捉え、自分のキャリアアップにつなげることが大切なのは、言うまでもありません。
しかし、必ずしも社員(=あなた)の意向が優先されないという(厳しい)現実もありますので、これまで自分が想い描いていた道を、これからは歩き続けられないかもしれないので。
そこで、
- あなたの会社の人事ローテーションはどのようなものか
を把握し、その上で
- あなた自身がどのようなキャリアを歩んで行きたいのか
を再整理して、その希望と会社の現実との折り合いをつけることが、本当に重要になってくるのです。
営業から経理に異動になったけれど、3年後には営業に戻るのか、あるいは、人事部などさらに別の部署に異動となるのか、あるいは、そのまま経理の仕事を続けるのか。
会社はどのような人事回しをしているか、自分はどうしたいのか、自分の希望はどこまで反映されるのか。
会社の現実は、それぞれの会社によって千差万別です。
なので、「こう考えたらいいよ」とは一概に言えない部分も多いのですが、自分の今後のキャリアプランを考えるときに
- ものすごくうまくいった場合
- まあまあ納得できる場合
- ギリギリ我慢できる最低ラインの場合
の三段構えで設計してみてはいかがでしょうか?
この三段構えで望むと、かなり現実的なプランを書くことができますし、今後、予期せぬ悪い事態が起きても、比較的冷静でいることができます。
どうしても異動が嫌な場合の対処法
嫌な部署に配属になったら行うべき3つのこととして、
- 嫌な理由の再チェック
- 新しい部署でのスキルアップやキャリアアップの検討
- 今後のキャリアプランの見直し
を考えると良いと記しました。
それでも、どうしても「この人事異動だけは、絶対に嫌だ」ということもあるでしょう。
それは、
- 配属先が自分の我慢の限界を越えるひどい部署である場合
- その会社でのあなたのキャリアプランに終止符が打たれた異動である場合
です。
もし、このような人事異動を受けてしまったら・・・、どちらも残念というか、不幸としか言いようがありません・・・。
いずれの場合でも、その会社にいる限りは、仕事は二の次・三の次と割り切った会社人生を過ごすしかありません。
でも、そんな会社に居続けたところで良いことは何ひとつたりともないでしょう。
それどころか、「嫌だ!」というあなたの思いと厳しい職場の現実とで、疲労困憊の毎日が待っているかもしれません。
ヘタをしたら心身に支障をきたして、取り返しがつかなくなるかもしれません。
まず上記の3つを考え、そして、新しい職場で時間を過ごしてみて、それでもどうしても
「やってられない!」
という方は、いっそ「転職」すべきでしょう。
もちろん、年齢や家庭の事情にもよるので軽々に判断すべきではありませんし、転職したからといって全てがうまくいくとも限りません。
ただ、悶々とストレスいっぱいの日々の中で、嫌な時間を過ごすくらいであれば、
「違う方向へ踏みだす」
ほうがよっぽどマシな人生を過ごせますからね。
「この人事異動だけは、絶対に嫌だ」と思うものでも、まずは異動して様子を見る。
そして、「やっぱりダメだ」と実感したら、新たな世界へ一歩踏み出し、会社人生をリセットする。
いずれにしても、より良く楽しい人生を過ごしていきましょう!
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では、また。