会社員人生に大きな影響のある人事評価ですが、人事評価が確定するのは評価面談。
評価面談をうまく乗り切ることで、あなたの評価をグーンとアップできますが、そのためには、事前準備がとても大切です。
さて、評価される側の人が準備すべき項目は、評価期間において
- 個人目標を達成できたか、できなかったか
- 自分が組織に対してどう貢献したか
の2つ。
これらをしっかりと整理して評価面談に臨むことで、自分自身を正しく評価してもらえます。
そして、今後のキャリアパスを自身の希望に近づけることができるのです。
本エントリーでは、評価面談用に準備すべきことと、整理すべき項目を具体的にご紹介します。
かなりボリュームはありますが、ぜひ、ご活用ください!
私・管理人は、某メーカの人事部において長く人事評価制度や人員配置の業務を担当し、また、15年以上の管理職経験を通じて、のべ1000名以上の社員の人事評価を行ってきた実績があります。
こちらで紹介する情報は、人事評価の表も裏も知る立場で得てきた知見ですので、きっとあなたの役に立つはずです!
評価面談でペーパーを準備することのメリット
まず最初に。
評価面談の準備として、様々な整理した項目を必ずペーパーに書いてください。
そして、そのペーパーは、評価面談で、上司に見せることを前提としてください。
ペーパーに書いて、評価面談時に使用するメリットとして、以下の3つがあげられます。
- 伝えたいことをモレなく正確に伝えられる
- 上司の査定時の資料として役立つ
- 上司との対立を避けられる
伝えたいことをモレなく正確に伝えられる
評価面談のイニシアティブは、概ね上司が取ることになります。
話し合われる複数の議題のうち、どの項目を深く掘り下げるか、時間配分をどうするかは、その時の上司の判断による部分が大きいのです。
逆に言うと、自分が強くアピールしたい点に注目されない、あるいは、時間切れとなって言いたいこと全てを伝えられない場合も出てくるのです。
これを回避するのに、ペーパーを提出することが有効となります。
まずは、伝えたい項目をタイトルレベルで構わないので、全て箇条書きします。
次に、自分がアピールしたい項目を太字にして目立たせ、かつ、補足的な情報を併記しておくのです。
このペーパーだと、言いたいことがどれだけあって、もっとも主張したいのはどれかが、すぐに分かります。
もちろん、ヌケモレもなくなります。
上司の評価実務の資料として役立つ
評価面談中、上司はしきりとメモを取っているはずです。
これは、評価を行うのに必要な情報を記録しているのですが、内容はあなたが話したことのうち評価に影響することと、上司自身がその場で下した評価そのもの、あるいは、評価に直結する事項なのです。
そして、面談実施後、評価基準に照らし合わせながら評価実務を行っていきます。
ところで、上司は部下全員と評価面談を行っていますよね。
面談相手が一人や二人であっても大きなエネルギーを使いますし、面談後の評価実務も大変な労力を要します。
これが10人、20人となってくると・・・。
ここで、評価面談用として提出されたペーパーが役立つのです。
上司も人間ですから、面談の際に聞き漏らすこともあれば、聞いたけれどメモを録り切れず詳細を忘れることがあります。
ペーパーがあることで、このような上司サイドのヌケモレが防げます。
あわせて、評価に際して、その判断理由を寸評することがありますが、それをゼロから書くよりは、何かをリライトできたほうが助かるのです。
部下から提出されたペーパーをベースに寸評を書けるのは、とてもありがたいのです。
上司との対立状態を緩和できる
これは副次的な要素です。
しかし、もしあなたの成績が良くなかった場合、非常に有効となります。
評価面談の席で、テーブルの上にメモ帳以外、何も無く、お互いが向き合っているとしましょう。
このように直接、対峙する状態だと、いきおい対立関係となりやすいのです。
もし仮に、あなたの成績が良くなくて、上司が一言言ってやろうと待ち構えていたとしたら、ストレートに攻撃しやすい状況と言えるのです。
ところが、面談に直結する情報が書かれたペーパーが1枚両者の間にあったら・・・。
そのペーパーをもって話をすることで、まず、視線がペーパーに集中していきます。あなたに対して、上司が敵対的視線を送る時間が格段に少なくなり、対立状態が緩和します。
また、ペーパーに書かれているのは、あなたのやった「事」です。
これを議題にすると、上司の攻撃対象は、あなたという「人」から、あなたがやった「事」に移っていくのです。
すると、感情のレベルは、「人」に対するものよりも低いものとなります。
もちろん、完全にゼロというわけにはいきませんが、少なくともあなたを直接攻撃するほどには、上司は感情的になりにくいと言えるのです。
このようにペーパーを面談中、共有すると、これが緩衝材になってくれるのです。
管理職が行う人事評価の裏側をご紹介しています!
個人目標
続いて評価面談用のペーパーに整理しておくべき事項を具体的にご紹介します。
まずは「個人目標」に関する項目から。
期首の活動計画
- いつ頃までに、何を、どのようにしてやるか
(複数ある業務各々で記載する。業務毎に重みを%で表すと良い)
目標値(達成したいレベル)
- 数値目標
- 数値化できないものは、「達成」と判断できる状態
実施したこと
- 実際に行ったことを具体的に記す
- 実施しなかったこと、実施できなかったことは、理由を含めて(正直に)記す
結果と自己評価
- 実施結果を客観的・簡潔に記す
- 上述の「目標値」を基準に、クリアできたか否かを評価する
(○×でも良いし、5段階評価でもOK)
- できた・できなかったの要因を分析する
次期に向けた課題
- うまくいったことの要因を、今後どう拡大・進化していくか
- うまくいかなかったことや実施できなかったことで、次期でも引き続き実施したいこと
- できなかった要因を解消するために取り組む具体案
組織貢献
次は「組織貢献」です。
この「組織貢献」は、少なくて2つだけ。
- 具体的に自分が取った行動
- 行動したことやその結果に対する自身の考え
この2点を上司に分かるように整理しておきましょう。
評価面談ペーパーの記入例
整理すべきことをざっと書いてみましたが、少しイメージしにくいかもしれません。
ので、例えば、営業を担当している人だったらということで、記入例を簡単に書いてみました。
個人目標
期首の活動計画
A販売店の自社商品の取り扱い額を上げる(全業務のうち30%)
- 4月末までに店主に依頼して直近6か月分の売り上げデータを入手する
- 5月末までにデータを分析し、競合社から自社商品に切り替えられるものをピックアップする
- 6月以降、店主にセールスを継続する。毎週2回は訪店する
目標値(達成したいレベル)
- A販売店での売上額を対前年110%にする
実施したこと
- 自社商品の単価・利益額の一覧表を作成し、仕入れのアドバイスを行った(5月)
- 売り上げと利益額の向上に貢献したいと店主に繰り返しお願いしデータを入手(6月末)
- データをもとに、競合社の上位商品と自社商品の切り替えを提案(7月)
- 高単価商品の陳列場所を優位置に移動させてもらい、POPを貼り付けた(8月)
結果と自己評価
- 売上額 107%(目標110%) 評価:×
- 店主が難色を示したため売り上げデータが入手できず、活動が遅れた
- データ入手の打開策として商品一覧表を作成し、仕入れアドバイスを行ったところ、売り上げが伸び、店主に興味を持ってもらえた
- 結果、売り上げデータが入手できたので、より精緻な仕入れアドバイスを実施。競合排除には至らなかったが、自社商品の新規扱いが拡大した
- 目標は未達成であったが、現在も伸びている(対前年9月単月比 112%)
次期に向けた課題
- データを基にした仕入れアドバイスを継続実施する
- 冬物商品への切り替えに際して、訪問頻度を高め(週2→3)、店主の信頼の維持と競合社の情報収集・排除を行う
- 陳列場所の優位置と大型商品のPOPを継続する
- 提案に対して店主が難色を示した場合を考慮し、事前に代替案を用意する
組織貢献
実行したこと
課の文書保管キャビネットを整理した
- 文書保管ルールの策定
- 課員への説明と了解取り付け
- 文書のファイリングを実行
意識したことと結果
- 簡単で使いやすいルールにし、課員の合意を得ること
- 整理作業(分別、ファイリング、不要物廃棄等)は、自身が率先して行う
- 運用後も定期的チェックを行う
- 結果、課員全員の書類を捜す手間が大幅に減った
- また、課員間で資料の共有化が図られ、業務が効率化している
評価面談の事前準備はPDCAを整理すること
さて、もうお気づきかと思いますが、「個人目標」で書く項目は、PDCAサイクルに目標(ゴール)を足したものです。
評価面談の事前準備とは、半期に行ったことをPDCAの流れにそって整理することに他なりません。
目標を立てて、やるべきことを考え、実行する。その結果を振り返り、直すべきところを洗い出し、次期の課題とする。この流れが繰り返されます。
なので、ペーパーに書くべき内容は、整合性がとれたものになるのです。
重要なことが唐突に書かれていたり、逆にヌケモレがあるのは、まだ、十分に整理しきれていないということになります。
ペーパーを見直すときに、このような箇所がないかを意識されるとよろしいかと。
最後に、仕事で行ってきたことをペーパーに整理するのは、「面倒くさそう」とか、「難しそう」と思うかも知れません。
でも、実際にやってみると、案外、簡単に書けるものです。
評価面談をより良いものとするために、是非ペーパーに書かれることをおすすめします。
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ではまた。