人事評価を高めるために上司にアピールすべきこととは?

 

人事評価をする人、それは上司ですよね。

本記事では、上司がどのような視点で、どのような方法で人事評価を行っているのかをもとに、何をアピールすべきかをご紹介します。

 

結論を先に書くと

人事評価を高めるためには上司が知りたいことをアピールする

こととなります。

では、上司は一体何を知りたいのか?ここを解説していきます。

あわせて、上司自身はどのような評価をされているのかを記しますので、ご参考にしてくださいね。

 

私・管理人は、某メーカの人事部において長く人事評価制度や人員配置の業務を担当し、また、15年以上の管理職経験を通じて、のべ1000名以上の社員の人事評価を行ってきた実績があります。

こちらで紹介する情報は、人事評価の表も裏も知る立場で得てきた知見ですので、きっとあなたの役に立つはずです!

 

人事評価における上司の視点

相互理解という視点

人事評価者である上司の一番の仕事は、その組織の期間の目標を達成することにあります。

そのために、部下それぞれに仕事を分配し、進捗を把握し、必要に応じて業務指示を行います。

人事評価面談を行うに当たって上司は、組織全体の成果の元である部下個々人の成果について、相当程度、把握して臨むものです。

つまり、あなたがどれくらいの成果を出したかは、上司は事前に知っている、ということです。

 

「個人の成果が分かっているのだったら、いちいち面談なんかやらなくてもいいのに。把握している情報をもって評価すれば良いではないか」

と思うかもしれません。

数字のような定量情報だけで人事評価するのであれば、それでも良いでしょう。

 

しかし、成果にいたるまでの過程や、数値化できない貢献度、本人の考えや行動などの定性情報については、上司は十分把握できていないことがあります。

なので、あらためて確認し、共有し、納得しあう必要があるのです。

いわば、「出来た・出来なかった」という結果だけを判断材料にしたり、上司の好き嫌いや勝手な思い込みだけをもって一方的に人事評価しないためともいえます。

 

日常のコミュニケーションがしっかり取れていれば、上司と部下の意見に大きな隔たりはないでしょう。

それでも、人事評価面談という場で、改めて”真剣”に話しあうことで、双方の納得性は高まりますし、今後、何をどうやっていくかを確認し合うことも、とても大切なのです。

 

さらに、部下にしてみれば、日ごろ、言いたくても言えないこともあるでしょう。

上司にしてみれば、話してもらわないと分からないことが多々あります。

それらを話し合うための場としても人事評価面談は重要なのです。

 

このように、人事評価面談は評価のための単なる情報収集や、概ね固まっている評価結果を納得させるための儀式ではなく、相互理解を得る場なのですね。

 

評価する上司が知りたいこととは?

部下が行う人事評価面談の事前準備とは、

上司が知りたい(だろう)ことと、自分が知ってもらいたいことを、あらかじめ整理しておくこと

です。

では、評価する上司が知りたいこととは一体、何でしょうか?

例えば、期中に「自分の連絡ミスによって、お得意様に迷惑をかけた」といった出来事があったとしましょう。

大きな問題になりかけて、社内は一時、大騒ぎになりましたが、その後の対応がうまく行って、幸いにも事なきを得ました。

 

そして、お得意様に対するリカバリーはもちろん、なぜその問題が起きたのかという原因究明と、今後起きないようにするための手立ては、すでに終わった、という状況を考えてみてください。

あなたに起因する問題が発生したけれど、一件落着している。

仕事をしていれば、このようなことはしょっちゅう起きますよね。

さて、上司が面談の場で知りたいのは、こういった問題に対して、

部下は、この問題をどう捉え、以降、どのような行動を取ったのか

なのです。

 

部下にとっては「終わった話だから、もういいだろう」という思いがありますよね。

バツの悪い話を、自分から蒸し返したくないですし。

でも上司は、このような出来事、特に失敗したことがあれば、それによって部下がどう変化していくかを、ずーっとチェックしているものなのです。

失敗は失敗、起きてしまったことは変えようがありません。

上司の立場であれば、失敗した事実は、人事評価において正当に評価(ほとんどはマイナス評価)せざるを得ないものです。

 

しかし、失敗をきっかけにして、部下本人の物事の捉え方や、考え方、行動の仕方といった、いわばビジネスパーソンとしての「変化」を見るのです。

失敗を糧に成長できる人か

意に介さず停滞する人か

気にしすぎて後退してしまう人か

さらに、失敗をきっかけに成長したのであれば、どのような方向でどの程度成長したのかもチェックしています。

 

こうやって上司は自分がチェックした内容が、正しいかどうかを確認したいもの。

なので、部下本人の口から「どう考えて何をやったか」を聞き、自分のチェックした内容とすり合わせを行います。

その結果は、人事評価における情意評価と能力評価の判断材料となるのです。

そして、これらを総合的にみて、次期の育成方針、具体的に言えば、担当してもらう業務や期待するレベルを考えますし、さらに言えば、昇格や次に異動する際の異動部署・担当する業務を決める要素とします。

 

評価面談の場で、自ら

「あのとき、あんな失敗をしたけれども、そこで自分は大きな気付きを得て、今はこう行動している」

、しっかりアピールすることが、自分自身の評価を上げることになります。

(もちろん、アピール通り実行していることが前提ですが・・・)

部下から失敗話を切り出せずに、上司から質問されるというのは、ハッキリ言ってよろしくないですし、その出来事に言い訳しか出来ないようでは上司からの評価は悪くなります。

まして、忘れてしまっているなどは、論外ですよ。

今から面談までの間に、失敗話をできるだけ思い出して、受け答えできる準備をしておきましょう。

 

上司自身も評価されているという視点

上司といえども、ほぼ全員、中間管理職、その上の上司から評価されています。

評価される項目は、立場によって大きく異なりますが、次の2つは厳しく追及されているものです。

組織成果

与えられた目標を達成出来ていてもいなくても、業務のプロセスや仮説立てと判断について突っ込まれます。

出来ていたら、

  • 何をどうやったから出来た?
  • もしやらなかったらどうなっていた?
  • 別の選択肢は何があって、それを取らなかった理由は?
  • その選択がよかったといえる根拠は?
  • もっと伸ばせるとしたらどうすればよいか?
  • なぜ今期、それをやらなかったのか?
  • 次期は何をどうやって、どれくらい成果を伸ばす?

うんぬんかんぬん・・・。

目標を達成していても、上司はさらに上司から、根掘り葉掘り聞かれるのです。

 

これらの説明に際しては、自分自身のマネジメントのあり方と、実際に仕事をしている部下のパフォーマンスを具体的に示す必要があるのですね。

組織成果への自身のかかわり方は当然ですが、その元である部下個々の成果とパフォーマンスの把握は必要不可欠なのです。

人事評価面談で、上司から「なんで、そんなことまで聞くの?」と思う質問をされたときは、上司自身が評価面談を受ける際の情報収集と思ってよろしいかと。

 

人材育成

個々の部下を成長させることも、管理職の大きな評価要素と言えます。

10年くらい前までは、お題目として人材育成は唱えられていましたが、「何を言ってもダメな奴はダメ」(=だから、仕方ない)という甘い風潮もあったものです。

 

ところが昨今は、少数精鋭を目指すようになったためか、「ダメな部下をなんとかするのが上司の役目」となりました。

部下をダメなまま放置している上司は無能呼ばわりされます。

まして、「目標達成できなかったのはダメな部下のせい」などとは、口が裂けても言えないのです。

 

そして、人事評価ですが、ひとつは公平・公正な評価を通じて組織全体のパフォーマンスを上げること、もうひとつは社員個々の成長の糧とすること、との意味があります。

(と言いながら、総額人件費をコントロールする要素もあるわけですが・・・)

 

つまり、評価のための評価ではなく、

 部下のできていること、できていないこと、これからできるようにすべきこと

明確にした結果が人事評価である、ということです。

 

部下の評価が正しくできているかは、上司が人材育成をしっかりできているかどうかの大きな判断材料にもなるのです。

もちろん、人材育成の一番大きな機会は、日頃の業務等での関わり方ではありますが・・・。

 

終わりに

一般的に、上司は部下に対して「良い評価」を付けたがるものです。

それは、部下の育成が上司自身の評価の大きな要素なので、部下の評価がよければ自分の評価も高まるから、なのですね。

あわせて、頑張っている部下・かわいい部下には良い評価を付けてあげたいと思うのは人情ですし、悪い評価をつけて、その部下から嫌われたくないという気持ちもあります。

 

一方、「良い評価」が高じて「甘い評価」となったら、それは社員の成長をジャマすることになりかねません。

こんな評価をしても、「おかしな評価を付けている」と、部下全員の評価のやり直しを命じられ、上司本人はマイナス評価を付けられてしまいます。

 

人事評価そのものには、裁量による部分が多々あります。

このあたりのバランスをどう取るかが、評価をする立場にとって難しいのですが、逆に腕の見せ所でもあるのです。

人事評価委員会では、良い上司、力のある上司は、納得性のある範囲の一番上のところで、自分の部下が良い評価となるようをギチギチと売り込みますからね。

 

以上、評価者の立場で記してきましたが、いずれにしても、期中はやるべき仕事をしっかりやって、振り返りもしっかり行い、そして、事前準備を怠らずに、評価面談に臨まれることがとても大切ですよ。

半期なかばでやっておきたい3つのこと 人事評価(人事考課)その5

そのうえで、たくさんのをゲットできればいいですね。

 

以上、ご参考になれば、幸いです。

 

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