退職金が振り込まれたら、すぐに銀行から電話がかかってきました。
用向きは、退職金というまとまったお金の運用についてです。
これまで、何の連絡もよこさなかったくせに、通帳に多くのお金が入金されたとたんに連絡が来たので、「人の通帳を盗み見している」とか、「人の懐を狙っているハゲタカ」みたいでイヤな感じがしたのですが・・・、話を聞くと、案の定でした。
で、銀行側からいろいろと運用の提案がされたのですが、その運用先の中には、「退職者優遇定期預金」というものがありました。
超低金利の時代に、びっくりするくらい金利の高い定期預金です。
が、そうそう「おいしい話」があるはずもなく・・・なんですよね。
すごく気になる「退職者優遇定期預金」ですが、その内容には注意が必要です。
と言うのも、その定期預金は投資信託とセットとなっている場合があるからです。
投資信託と定期預金のセットキャンペーン
銀行が用意しているパンフレットには、
「退職者優遇キャンペーン 金利7%」
などの驚くような数字が載っています。
しかし、これを良く読むと、
- 金利が7%となるのは当初3ヶ月間のみ
- 以降は通常の金利(ほとんど「0%」)に自動的に切り替え
- 定期預金と同額の投資信託に加入が条件
などと書かれているんですよね。
確かに7%の金利には違いないのですが、それは最初の3ヶ月だけで、あとは、ほとんど「ゼロ金利」の定期預金になるということ。
そして、何より大きな問題は「投資信託」に入らなければならないということです。
金利7%の「退職者優遇定期預金」と銘打っていますが、実質は投資信託に加入してもらうための「オマケ」なのです。
CHECK!
投資信託とはなにか?
投資信託とは、簡単に書くと「多くの人から資金を集め、それをプロが株式や債券などで運用する」仕組みのことです。
個別の株式や債券を売買するのはハードルが高いと考える人向きの資産の運用方法となります。
投資信託も、基本は安く買って高く売ることであり、商品には、日経平均などの指数に連動させたものから、ギャンブル性の強い株式や債券を組み合わせたものまで、さまざまなラインアップがあります。
投資信託を購入するときには手数料がかかり、また、運用管理にもお金がかかります。
*購入手数料が0円のものもありますし、運用管理手数料は商品によってマチマチですが・・・。
また、プロが運用するとは言っても、必ずしも利益が出せるものではなく、元本割れになることも。
そして、利益が出せても手数料のほうが高くついたといったことも起こりえる、そんなリスクのある商品です。
以下、詳しく見ていきます。
投資信託とのセットで注意すべきこと
銀行のパンフレットを見ただけだと、「金利7%の退職者優遇定期預金は、とってもお得」と思いますので、すぐにでも契約したいところ。
でも、ここで注意が必要です。
というのも、上に書いたように定期預金とセットで加入しなければならない投資信託には、手数料が必要で、これが定期預金の7%の金利より高くつくケースがあるからなのです。
例えば、500万円の定期預金に1年間入ったとすると、その利子は、
となり、税金の20%を引いても、たった3ヶ月預けるだけで7万円もの利子がもらえます。
(残り9か月分は金利0.01%なので、300円です・・・)
ところが、同額の投資信託に加入した場合、仮に税込みで購入手数料3%、運用管理費1%だとすると、
となり、20万円もの手数料が必要なのです。
このように、7万円の利子をもらえると皮算用しても、20万円もの手数料を支払うため、結果、13万円のマイナスとなってしまうのです。
手数料の安い投資信託だとマイナスにならないのでは?
もちろん、投資信託自体は、運用をお任せするわけですから、それなりのコストがかかる商品です。なので、手数料を云々すべきものではありません。
問題は、このように金利以上の手数料が必要であることを理解できているのか、と言うことです。
銀行が用意しているパンフレットには、具体的なことは全く書かれていません。
なので、「金利7%」という表記だけを見て、すぐに判断しないよう注意が必要なのですね。
また、購入手数料や運用管理費が安い投資信託だと、マイナスにならないのでは?と考えますよね。
私が調べた範囲では、このように手数料が安いものは、セットキャンペーンの対象から除外されていました。
手数料収入という「銀行の儲け」にならない商品は扱わないということ、穿った言い方をすれば「優遇金利は、ただではもらえない(損しないともらえない)」ということです。
おわりに
投資信託にも十分魅力を感じると言う方は、このセットキャンペーンを活用するというのもありでしょう。
(もっともネット証券で投資信託を行ったほうが、手数料は圧倒的に安くすみますので、断然、そちらをおすすめしますが・・・)
いずれにしても、目を引くとても良い条件だけを見て判断するのではなく、内容をしっかり理解して、納得したうえで退職金の運用方法を決めて行きたいものですね。
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