評判の悪い外貨建て個人年金保険のデメリットとそれでも私が加入した理由

 

「外貨建て個人年金保険」というのがあるのですが、ご存知でしょうか?

資産運用、特に退職金の運用先の1つとして、銀行が強くプッシュしてくるこの商品、ネットなどではすこぶる評判が悪いんですよね。

評判の悪い口コミを読んでいたら、

「う~ん、なるほど。そういうことか・・・」

と納得するものばかり。

 

でも、私は退職金の4分の1を外貨建て個人年金保険で運用しています。

というのも・・・。

 

本記事では、なぜ外貨建て個人年金保険の評判は悪いのか?をご紹介するとともに、この商品のデメリットを理解しながらそれでも加入した理由を紹介します。

 

外貨建て個人年金保険のメリット

 

外貨建て個人年金保険とは、基本的には海外の保険会社が販売している商品です。

銀行など日本の金融機関が「代理店」として販売代行しているもので、保険料の支払いや保険金の受取りは、原則、米ドルやオーストラリアドルなどの外貨で行う個人年金保険です。

 

外貨建て個人年金保険のメリットは、何と言っても利回りが高いこと。

どの保険会社にするかやどの国の通貨にするか、また、保険期間をどれくらいにするかで変わってきますが、利率が2~3%になっている保険商品も珍しくありません。

日本の年金保険の予定利率が1%あるかないかの時代ですから、この差は大きいですね。

 

 

外貨建て個人年金保険のデメリット

一方、外貨建て個人年金保険は「絶対にダメ!」と、すごく評判が悪いのは事実。

そのデメリットをザックリと挙げると、

  • 為替リスクがある
  • 外貨に交換するとき、日本円に戻すときの両替手数料がかかる
  • 個人年金保険の加入、維持に費用がかかる

の3つがあるからなんです。

 

デメリット1・為替リスク

為替リスクとは、保険料を支払ったときと保険金を受け取るときの為替相場の差によって、損するときがある、と言うものです。

 

例えば、100万円のドル建て外貨建て個人年金保険に入ったとして、加入時1ドル100円だったのが、保険料受け取り時に1ドル80円になっていたら、

100万円 → 1万ドル → 80万円(利子、手数料をのぞく)

と受け取り金額が元本割れしてしまうというものです。

 

しかし、為替が逆に動いた場合、大きな利益になります。

加入時1ドル80円、保険料受け取り時に1ドル100円で計算すると、

100万円 → 1万2500ドル → 125万円(利子、各種手数料をのぞく)

となります。

 

このように、為替がどう動くかはわかりませんので、受け取り時点で大きく儲かるかもしれないし、大きく損をするかもしれません。

その時になってみないと分からないことで、必ずしも「損する」わけではないのです。

ただ、変動幅が大きく元本割れをする可能性がある以上、「リスク」と捉えるのですね。

 

<参考>

退職金の運用先を価格変動と為替変動で区分して考えてみた

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手元にあるまとまったお金を運用するには、「卵は一つのカゴに盛るな」という格言どおり、運用先を複数に分けて、リスクを分散させることが大切です。では、どうやって運用先を分けるべきかを価格変動と為替変動の2つに分けて考えて見ました。価格変動と為替

 

デメリット2・両替手数料がかかる

外貨建て個人年金保険は、日本円を保険会社が指定する外国の通貨に替えて加入します。

つまり、日本円を外国通貨に両替する必要があるのですが、それには手数料がかかります。

取り扱い金融機関によって料金は異なりますが、例としてドルで言うと、大体、1ドルあたり50銭から1円くらいの手数料がかかるイメージでしょうか。

 

100万円の外貨建て個人年金保険に入ったとして、加入時・保険料受け取り時とも1ドル100円と為替変動がなかったとしても、両替手数料が1ドル1円だとすると、最初に円からドルに、終わりにドルから円へと両替しますので、手数料分の目減りは、

100万円 → 9,900ドル → 98万円

と2%発生することになります。

仮に利回り2%で1年預けたとしたら、為替に変化がなくても、利子分が手数料で無くなってしまいます。

これはかなり大きいですよね。

 

保険の契約締結、維持に費用がかかる

外貨建て個人年金保険の評判が悪い最大の理由だと思いますが、保険に加入するときや維持するのに費用がかかるのです。

海外の保険会社の商品を、日本の銀行などの金融機関が代理店として販売する場合、代理店報酬(=銀行の儲け)が発生します。

銀行は、円と外貨の両替手数料だけでなく、商品の販売手数料も取っているわけです。

なんとなくですが、預け金の3%くらいは販売手数料として、銀行がとっている?ようですね。

 

それと最大の問題点は、「積立比率」というもの

10年・20年の年月をかけて、毎月、保険料を支払っていく年金保険の場合、支払った保険料から一定の手数料を引かれた残額が、将来もらえる年金として積み立てられます。

 

この保険料から積み立てに回る比率を「積立比率」と呼ぶのですが、その比率が50%もない商品やブラックボックスに入っていてオープンにしていない商品もあるのです。

ちょっと信じられないのですが、長期の年金保険では、加入当初に自分が支払ったお金の半分が手数料としてピンハネされているものもあるんですよね。

 

自分が加入した外貨建て個人年金保険が「積立比率」をオープンにしていない商品だったら、いったいいくらピンハネされているのか・・・、これが分からないということなんですよ。

オープンにできないくらいですから、相当の「ぼったくり」を行っていることは、簡単に想像できますけどね。

あわせて、途中解約すると違約金がバカ高いので、大損するのは言うまでもありません。

 

保険会社も営利団体である以上、保険の維持費用を徴収することは理解できますが、その額があまりに大きいことが外貨建て個人年金保険の最大のデメリットであり、評判を悪くしている理由なのです。

(詳細は不明ですが、実はこの維持手数料、海外の保険会社のみならず、日本の保険会社でも行っていて、相当額を「ピンハネ」しているそうなんです・・・)

 

それでも私が外貨建て個人年金保険に加入した理由

外貨建て個人年金保険は、利率が良いというメリットに比べ、為替リスクに両替手数料、そして何より、加入・維持費用といった「ピンハネ」のデメリットのほうが大きいと言える商品です。

 

にも関わらず、私は退職金の4分の1をこちらにしました。

その理由ですが、卵は一つのカゴに盛るなの格言通り、一定額を外貨で持つことを考えていたからです。

 

その際、外貨預金、外国株、個人年金保険の3つを候補としましたが、利率とリスク、手数料をトータルで考えた場合、個人年金保険のとある商品が最も適切と判断したのです。

その商品は、ドル建ての個人年金保険で、

  • 5年満期と短期
  • ドル建て運用利率が固定
  • 満期後、ドル建ての定期預金への移管が可能
  • 手数料は、加入時に一括支払い保険料の3.5%だけ

という条件でした。

 

外貨建て個人年金保険の3つのデメリットについては、

  • 為替リスクと両替手数料は、「外貨を持つ」と決めた時点で覚悟のうえ。さらに為替レートが好転するまで定期預金で保持できる
  • 個人年金保険の加入費用は納得がいく額であり、維持費用は(見かけ上)「0」

と、私自身、納得できるものだったからです。

 

おわりに

外貨建て個人年金保険、保険会社や取り扱い銀行などにとっては「おいしい商品」のようで、裏を返すと加入者にとってはそれだけ不利というもの。

ですので、全くおすすめするつもりはありませんので念のため。

 

それにしても、日本経済の先行きに不安がなければ、あるいは、国内にまともな運用先があれば、外貨預金や外貨建て個人年金保険を考えなくても良いのですけどねぇ・・・。

今後、為替がどうなっているかを楽しみに先を待つこととします。

 

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