調査役って何?よくわからない肩書きの意味を一挙に解説します

 icon-user  名刺交換をしたら肩書きが「調査役」ってなってたけど、これって何?

 icon-user  副部長と部長代理、どっちがエライの?

仕事をしていると、さまざまな人と名刺交換をする機会がありますよね。

課長とか部長のように良く見る肩書きだったらすぐに分かるんだけど、見たことも聞いたこともない肩書きだと、一体、どんな立場でどんな役割をしているのか、サッパリわからない・・・、そんな経験は、どなたでもあることでしょう。

こちらでは、見ただけではよくわからない肩書きの意味を一挙に解説します!

 



はじめての肩書き

会社に入ってはじめて肩書きをもらったのが、31歳のときでした。

いただいた肩書きは「調査役補」

パッと見、どんな立場でどんな仕事をするのか良く分からないですよね。

 

先輩に聞くと、

「よくわからん」

と答える人が何人かいて、ますます「???」となっていたのですが、元人事部の人に聞いたら、

「管理職だけれどレポートラインの上にいない人、つまり、部下がおらず、決裁権限がない管理職で『調査役』というのがある。

『調査役補』というのは、その非管理職バージョン。完全な平社員ではないけれど、係長や主任といった役職がない社員に与えられる肩書きのこと

みたいな説明を受けました。

 

序列は、

課長 > 課長代理 > 係長 > 主任 > 調査役補 > 役無し

といった並びです。

(例外的に、係長や主任と同じ職級の調査役補もいました。調査役は部長級の人から、課長代理よりも下までいて、幅が広すぎてわかりませんでした。ちなみに「調査役」という役職が用いられている会社は、銀行やいわゆる「独立行政法人」などが多いですね)

 

私がもらった「調査役補」という肩書きは、

「それなりの年齢になってきたし、いつまでもヒラ社員のままだとかわいそうだから、何か肩書きをあげよう」

といった意味合いが強く、年功序列バリバリの時代ならではの話です。

 

社内的には一応「昇格」ですが、仕事や組織上で特に立場が変わるわけでもありません。

でも、給料は少しだけあがり、周りから「おめでとう」との言葉。

肩書きの入った新しい名刺も貰ったので、サラリーマンとして素直に嬉しかったのを覚えています。



「調査役補」ってどういう肩書き?

さて、この 「調査役補」という肩書き、あまり一般的ではないですよね。

社内でもよく分からないものですので、社外の人にとっては、もっと分からないものでした。

初めてお会いした人と名刺交換をすると、一瞬、訝しげな目で名刺を見られることもしばしば。

ですがその場で、「調査役補って何?」とストレートに聞いてきた人はいなかったですね。

 

もっとも、しばらくして、お互い打ち解けた関係になると、

「『調査役補』ってどういう肩書き?何かを調査するって意味なの?」

と質問されることもありました。

そんなときは、

「警察の警部補みたいなものです・・・、かね?」

と答えると、妙に納得されたのです。

 

が、しかし、「警部補みたいなもの」って回答、これ、大間違いなんですよね。

警察の「警部補」は、ちゃんとした実績をあげて、昇任試験に合格した人が就く階級です。

係長等の役職者もこの階級で、警察の中のいわば初級幹部、ただの年功序列でなれる「調査役補」とは、まったく違います。

当時は、よく知らなかったとはいえ、適当な説明をしていたわけです・・・。

 

調査役という肩書き

『調査役補』は、あまり使われていないかもしれませんが、『調査役』という肩書きは、役所や銀行では、ひんぱんに用いられています。

 

調査役は、上で書いたように「レポートライン上にない管理職の肩書き」として用いられるのが一般的。

ですが、組織によっては、れっきとした「課長」クラスで、レポートライン上の決裁権限を持ち、部下がいる人でも、この調査役という肩書きが使われているケースもあるんですね。

 

同格のポジションなのに「課長」と「調査役」、それぞれの肩書きを使い分けているのは(私の知るところで言うと)

  • その部署が「総務課」のように以前からある組織で、部署名に「課」がついているところが「課長」
  • 比較的新しい組織で、名称も「管理グループ」とか「支援チーム」のように「課」が使われていない組織だと「調査役」

となっているケースが多いです。

この使い分けの理由を直接聞いたことがないので、実際のところは、よく分かりませんけどね。

 

ちなみにこの会社では、「課長」の下には「係長」がいて、「調査役」の下には係長と同格の「副調査役」が配置されています。

 

よく分からない肩書き

肩書き自体には、役職や階級が用いられ、場合によってはその人が持つ資格なんかが名刺に書かれていることもありますが、基本はそれぞれの組織が勝手につけて良いものですよね。

だからでしょうか、いろいろな人と名刺交換をしていると、たまによく分からない肩書きと出会うことになります。

英語の肩書き

英語の肩書きが付けられているケースは多々ありますが、その中でも一番多いのが「マネージャー」という肩書き

この「マネージャー」、エライ人の場合もあれば、役職入門者の場合もあり、中にはただのヒラ社員につけているケースもあるので、これだけでは判断できないんですよね。

 

それと、「マネージャー」単独ではなく、その前に何らかの単語がついていると、そちらのほうが重要だったりするんです。

なので、「ゼネラル・マネージャー」と「エグゼクティブ・マネージャー」、どっちがエライの?というケースが起きるのです。

 

「グループリーダー」というのも、幅広く使われています。

係長の下の主任や班長など、少人数のグループを束ねる肩書きの場合もあれば、いくつかの事業部をグループとして束ねる執行役員級の役職のときもあります。

 

そして、「プレジデント」という役職。

これは、必ずしも社長ではない、というか、最近はむしろ社長ではない人の肩書きとして用いられているケースが多いような気がします。

 

笑いそうになったのが、「カンパニー長」という肩書き。

ひとつの事業部を「会社(=カンパニー)」に見立てた組織のトップの肩書きです。

当然、すごくエライ人の肩書きなのですが、声に出して読むと

「カンパニィッチョ」

と中南米っぽい響きがあって・・・。

 

副部長代理って?

私が知っている肩書きの中では、『副部長代理』というのが一番分かりにくかったです。

「副部長の代理?それとも部長代理の副?どっちなの?」と尋ねたら、「部長代理の副」だとのこと。

その会社は、

部長 > 次長 > 副部長 > 部長代理 > 副部長代理 > 役無し

という構成です。

 

副部長が一般的な課長職で、部長代理は係長みたいな位置づけ。

副部長代理は主任級となりますが、直属の上司は部長代理だから、その副となるとのこと。

本人たちも、「部長という言葉がいっぱいつくので、面倒くさい」と言っておりました。



役所で使われる肩書き

地方自治体では、一般的に

理事 > 参事 > 主幹 > 主査 > 主事

などといった階級があり、副参事や副主幹をおいているところもあります。

 

役職と階級の相関は、

局長・部長(理事・参事) > 次長(参事) > 課長(参事・副参事)

 > 課長補佐(主幹) > 係長(副主幹・主査) > 主任(主事) > 役なし

が基本のようです。

 

あとたまに「XX監」という肩書きを見ることもありますが、この方は局長・部長よりも上、会社で言えば執行役員級のかな~りエライ人でした。

 

肩書きの序列と対外呼称

肩書きや役職の序列は、一般的には、語尾に「長」の文字がつくほうが上といわれています。

部長代理と副部長がいれば、副部長のほうが上ということですね。

 

それと、支店長代理や営業所長代理などの「代理」がつく肩書き、あるいは、○○担当課長のような「担当」がつく肩書きは、いわゆる「対外呼称」という場合もあります。

 

社内人事上の正式な役職ではないけれど、営業などの仕事で対外対応時にそれなりの肩書きが求められる人に付与されるもの、です。

 

さらに、部付き部長もあります。営業部長の部下に、営業部部長(「ぶちょう」ではなく「ぶぶちょう」という肩書き)が設置されるケースですが、これも「対外呼称」の場合があります。

 

もっとも、ここで書いた肩書きの位置づけは必ずしもそうだというわけではありません。

知っておいて損はないかと思いますが、会社や組織によって運用は違いますので、事実確認はご自身でしっかり行ってくださいね。

 

取締役と執行役員

よくわからない肩書きとして、取締役と執行役員があります。

その違いをざっくり書くと、取締役は「経営者」で、執行役員は「会社における業務上の役職」となります。

*会社法で「執行役」というのもありますが・・・、とてもややこしくなるので省きます。

 

取締役は、会社のオーナーである株主から「しっかり儲けろよ」と任命された人たちで、株主総会で選任されます。

やるべき仕事は、会社が業務として行うことの「意思決定」で、その立場や責任は法律でいろいろと決められています。

一方、執行役員は、取締役(会)によって決められたことを実行するのが仕事です。

 

昭和の時代までは、役員と言えば「取締役」でしたが(あと、監査役も含みます)、平成の今は、ある程度以上の規模の会社では、取締役と執行役員の2つに分かれています。

 

コーポレートガバナンスを確立するために、会社の経営(取締役)と業務の執行(執行役員)を分離する、というのが背景にあってのことですが・・・、実際には、取締役が執行役員の仕事も兼務しているので、ゴチャゴチャしていて、なんだかわかりにくいですよね。

それに、執行役員は社内的には十分エライ人なのに、取締役に比べると、とっても軽く感じられるのが、かわいそうだったりします。



役員の肩書き

もうひとつ、ややこしいのが役員クラスの肩書きです。

一般的な肩書き

一般的な役員クラスの肩書きをエライ順に並べると、

会長 > 社長 > 副社長 > 専務 > 常務 > (役無し役員)

となります。

いずれも会社で勝手につけている役職で、これらには法的な根拠はなく、運用も会社によってマチマチです。

 

社長と会長

社長は「代表取締役社長」のように取締役として代表権を持ち、かつ業務執行のトップという場合が多く、会社で一番エライ人です。

でも、会長は取締役会の長として取締役で一番エライ人なので、会社で一番エライ人とも言えるのです。

会長と社長がいる会社では、社内の序列では会長が上、業務執行や対外的な顔としては社長が出張る、というのが一般的です。

 

副社長、専務、常務

副社長は、社長の補佐をし、場合によっては代行する役目を担います。

専務と常務は、両者に厳密な違いはありません。

が、専務は社長の意思決定をサポートし、常務は担当する業務を執行するというニュアンスが強いようです。

なので、専務のほうが常務よりも上席扱いとなるのが一般的です。

役無し役員は、「ヒラ取」(ひらとり・ヒラの取締役)なんて呼ばれていましたが、執行役員が出来てからは、あまりそのような呼ばれ方はしなくなりました。

 

役付き執行役員

このように、取締役や執行役員に役職が組み合わさってくるので、とてもややこしいのです。

とある会社では、「取締役・常務執行役員XX担当」「常務取締役・執行役員YY担当」と似通った役職が用いられています。

パッと見、同じように見えますが、「どっちがエライの?」と聞くと、後者が取締役として常務なので格上となり、序列も上なのです。

さらに、CEOとかVice Presidentなどの英字表記が併用されてくると、本当にわからなくなりますね。

 

その他のエライ人の肩書き

役員級のエライ肩書きでは、さらによくわからないものがあります。

相談役・顧問・フェロー・・・などです。

 

相談役は文字通り、経営の意思決定において経営トップの相談相手となる人。

会長や社長を務めた大実力者や創業者一族が、さらに会社に留まっている際に用いられる肩書きです。

 

名誉職の意味合いが強いのですが、取締役相談役(略称:取相・とりそう)のように、そのまま取締役=経営者として会社に残る場合もあり、「老害」と言われることも。

*名誉職といえば、「取締役・名誉会長」とか、「終生相談役」のように「名誉」とか「終生」という単語を肩書きに付けている人もいますよね。

スポーツ選手や棋士のような立場だったら、引退後、この肩書きもまだ分かりますが・・・、会社組織の中の話ですからねぇ。

見苦しいというか、他人事ながらとっても恥ずかしい行為だと思うのですが・・・、ご本人はきっと悦に入っているんでしょうね(苦笑)。

 

顧問は、経営全般や特定の分野で提言・助言を行う人です。

その役割上、外部から招聘された人材が実務を担うケースが多いですが、相談役や元役員が顧問として残るケースもあります。

もちろん、相談役・顧問とも、本当にその立場にふさわしい仕事をしている方は、たくさんいらっしゃるでしょう。

でも、会社の功労者に給料を支払い続ける仕組みとして(あるいは、いつまでも権力者であり続けたいというワガママを押し通している人に対して)形式的に使われている役職の場合もあるので、会社経営に対して厳しいチェックがなされる昨今、相談役・顧問とも、どんどん減ってきています。

 

フェローは、ある分野において超高度なスキルを持つスペシャリストではあるけれど、取締役や執行役員のような経営や組織運営には馴染まない人が就く役職です。

技術系の人に多いですね。

これらの肩書きの位置づけは、一般論としては上に書いたとおりです。

しかし、会社によって様々な使い方がされているので、一概に言えないことが多く、その肩書きがどんな立場で、どんな役割を表すのか良くわからなくさせているようです。



終わりに

肩書きとか役職とかには、よく分からないものもありますが、それぞれの組織なり個人の個性が出ていて、見ているとおもしろいものです。

ま、現実問題として一番困るのは、結婚式の披露宴で席次表をつくるときで、どっちがエライ?で頭を悩ませることかもしれませんね。

 

では、また次回!