失業保険。
ほとんどの働いている人にとっては、日常、ほとんどご縁のないもの。
それだけに、「失業保険のことは、よく知らない」って方も多いのではないでしょうか?
ですが、いつ、そのお世話になる日が来るかは分かりません。
その時に、スムーズに行動できるよう、失業保険の基本的なことは知っておきたいもの。
こちらでは、失業保険について、できるだけシンプルかつ分かりやすくまとめてみました。
*記事内での引用・添付で出典記載のないものは、ハローワークのホームページから引用しています。また、本文内容や数字は改定されている可能性がありますので、正しくは下記のハローワークのホームページでご確認ください。
ハローワークインターネットサービス – ハローワークインターネットサービストップ(仕事をお探しの方)
失業保険って何?
失業保険(雇用保険の基本手当てのこと)とは、
定年、倒産、契約期間の満了等により離職し、失業中の生活を心配しないで、新しい仕事を探し、1日も早く再就職していただくために支給されるもの
のこと。
失業中で、再就職活動をしている人の生活を支援するために支給されるお金のことです。
「会社を辞めたら自動的にハローワークからもらえるお金」と勘違いしている方が割と多いのですが(笑)、あくまで再就職活動を行っている人に対して、その活動を支援するお金なんですね。
失業保険は、誰がもらえるの?
失業保険がもらえる人は、基本的には、
- 失業中で就職活動している人
- 雇用保険に入っていた人
となります。
1の「失業中で就職活動している人」は、働くことができる人で本当に就職活動をしていることが条件。
なので、働くつもりのない人や就職活動をしない人はもちろん、病気等で働けないという人も、失業保険はもらえないのです。
2の「雇用保険に入っていた人」は、入っていた期間などの条件があります。
クリア条件は、
- 退職した日からさかのぼって2年間の間に、12ヶ月以上雇用保険に入っていた
ことです(働いた日数が月単位で11日以上ある月の合計が12以上)。
失業保険は、どうしたらもらえるの?
失業保険は、上で書いた2つの条件を満たしている人がハローワークに出向いての手続きを行います。
事前に準備する書類
失業保険をもらうために、事前に準備する書類は、以下の通りです。
- 離職票-1・離職票-2
- 雇用保険被保険者証
- 身元証明書(運転免許証やパスポートなど)
- 印鑑
- 証明写真2枚(直近3ヶ月以内・たて3cm×よこ2.5cm程度)
- 本人名義の預金通帳
1の「離職票-1・離職票-2」は、会社がハローワークで手続きを行ったあと、会社から送付されます。
通常は退職日から2週間程度で届きますが、3月末など退職者が多いときは、事務処理が遅れるため4週間程度かかることもあります。
離職票-1
離職票-2
2の「雇用保険被保険者証」も、会社が保管しているもので、退職後、会社から送られてきます。
雇用保険被保険者証
このように、「離職票-1・離職票-2」と「雇用保険被保険者証」は辞めた会社から送られてくるもので、これらが揃うのは、退職してからだいたい2週間以上の日数が必要です。
ですから、退職した翌日にでもハローワークに行って失業保険の手続きを行うというものではありません。
ハローワークでの初回手続き
書類が揃ったら、いよいよハローワークへ。
ハローワークでの初回手続きは、まず「求職登録」を行い、次いで離職票などの「必要書類」を提出することです。
すると、「受給資格者のしおり」を渡され、「職業講習会」と「雇用保険説明会」の日時が指定されます。
なお、求職登録とは、自分の就業状況等を記すもので、簡単なアンケートに記入するイメージで大丈夫です。
職業講習会とは?
職業講習会では、「求職活動をどう行うべきか」が説明される会です。
あまりやる意味が感じられない薄っぺらい講習会ですが、私が行っていたハローワークでは、この場で「失業認定申告書」(次回のハローワーク訪問までに行った就職活動を記すもの)が手渡されたので、やはり、参加しなければならない会ですね。
雇用保険説明会とは?
雇用保険説明会は、初回訪問日から1~3週間後に、2時間程度行われます。
ここでは、失業保険をもらうための大切な話がなされます。
まじめに受講されることをおすすめします!
失業保険の認定
「雇用保険説明会」以降、4週ごとに「失業保険の認定」を受けるために、ハローワークに行くことになります。
「失業保険の認定」とは、失業状態であることと、アルバイトなど期間中に働いたどうかを申告することにあわせて、「ちゃんと就職活動をした」ことを申告し、それが認められることです。
概ね、アルバイトは1日4時間以下(それ以上は就業扱い)で、就職活動は2回以上行うなどが、認定の条件となりますが、ハローワークによって対応が異なるという話も聞きますので、担当の方にしっかりと確認しておいた方が良いですね。
もし、ここでウソの申告をすると「不正受給」となり、失業保険がもらえなくなるどころか、不正に受給した額の返還とその2倍の追徴金が請求されます。
正しく申告しないと、かなりやばそうです。
この失業保険の認定日は、指定された日に行くことが原則、病気や採用面接など何らかの理由で行けないときは、電話連絡の上、後日、その証明書を提出します。
これを出さないでいると、失業保険金の支給は次の認定日分とあわせて28日後になります。
失業保険はいくらもらえるの?
失業保険でいくらもらえるのか?ですが、もらえる額は、退職理由・年齢・退職前6ヶ月間の給与によって異なります。
退職理由
自分から会社を辞める「自己都合退職」と、倒産・解雇・リストラなどの「会社都合退職」の2つがあり、「会社都合退職」は、特定受給資格者となります。
特定受給資格者は、切羽詰った状態ですので、手厚い対応がなされます。
*会社の法令違反やパワハラ・セクハラなど、本人が辞めたくないのにやめざるを得ない場合、特定受給資格者となります。
自己都合か会社都合かは、「離職票2」に記載されています。
上で年度末のように離職者が多い時期に、会社から「離職票-1・2」が届くのが遅くなると書きましたが、実は、会社とハローワークとで「自己都合か会社都合か」を調整していて、それで時間がかかっているんですね。
で、その調整とは、会社側が
「この人は自己都合、こちらは会社都合」
というふうに申請していて、ハローワークはそれらをチェックをしています。
ところで、会社は失業者にとって有利となる会社都合退職の扱いにするのを嫌がるものなんです。
というもの、会社都合退職が多いということは、それだけ社員を「解雇」していると見なされますので、雇用維持に関して会社側に何か問題があるのでは?と疑いを持たれることがあげられます。
また、社員を簡単に解雇する会社として、いわゆる「助成金」の受給対象から外されるリスクがあるわけです。
なので、なかば「指名解雇」のような強引なことをやっても、会社の立場が不利にならないように、辞める社員に対して自己都合退職扱いとなる書類を出せと迫ってくる会社が結構、たくさんあるんですね。
本当は会社都合退職なのに、無理やり自己都合退職にさせられると、ものすごく不利(=損をする)になってしまいます。
くれぐれも、お気をつけください。
もらえる金額
失業保険でもらえる1日当たりの金額(基本手当日額)は、
- 退職前の給料6か月の合計を180で割り、その50~80%程度
です。
*賃金が低い方ほど高い率となる
ただし、年齢ごとにその上限額が、下表のとおり決められています。
30歳未満 | 6,750円 |
30歳以上45歳未満 | 7,495円 |
45歳以上60歳未満 | 8,250円 |
60歳以上65歳未満 | 7,083円 |
*2019年2月現在の金額です。毎年見直しがありますが、このところずっと上がってますね。
もらえる日数
失業保険がもらえる日数は退職理由によって異なります。
自己都合退職で会社を辞めた人は、最大で下の表の日数となります。
会社都合退職の人(特定受給資格者)は、下の表です。
ご覧のとおり、自己都合退職と会社都合退職とでは、失業保険がもらえる日数が全然ちがいますよね。
それと、ぜひ覚えておきたいのは、自己都合退職の場合、3カ月間は失業手当が振り込まれないということです。
このように自己都合退職に比べて会社都合退職は有利になっています。
日数や支払い開始日が両者でなぜ、こんなに差があるのか?ですが、そもそもの発想として、失業保険は会社を辞めさせられた人(=会社都合退職者)のための救済措置という色合いが強いからのようです。
自己都合で退職する方は、あらかじめ生活資金を確保するなど、しっかりとした準備が大切ですね。
おわりに
以上、失業保険について、できるだけシンプルかつ分かりやすくまとめてみました。
失業保険で損とか得とかを考えるのはあまりよろしくないのでしょうけど、会社を辞めるときは、被保険者期間によって支給日数が変わってくるので、タイミングを考えたほうが良いですね。
この記事が何らかのお役に立てば幸いです。