部下に業務を実行できる能力を身につけてもらうために

 

部下に業務を実行できる能力を身につけてもらうこと、そして、部下に成長してもらうこと。

上司と言う立場になると、誰もが頭を悩ますのが、これら部下の仕事における能力アップという課題です。

こちらでは、部下に業務を実行できる能力を身につけてもらう方法と、上司としての心構えについて、思うところを記します。

部下に能力を身につけてもらう具体的な方法とは

とにかく「やらせる」

部下に業務を実行できる能力を身につけてもらう、そのためには、とにかく「やらせる」しかありません。

ですが、これがなかなか難しいのです。

 

部下は「やらない理由付け」をする

一般的に人は、知らないことや、やったことがないものに対して、「やりたくない」という気持ちが先立ってしまいます。

そうやって二の足を踏んでいるとき、人は情報収集に走りますが、残念ながら、「やらない理由付け」をするための情報を探すことがあります。

「やりたくない」という無意識が、そうさせているのかもしれません。

すると、知らず知らずのうちに集めた”後ろ向き”の情報をもって、分かったと勘違いし「やったところで、しょせん、この程度」と、高を括ってしまうのですね。

これでは、部下は成長どころか退化しているようなものです。

このように、二の足を踏んでいる部下に「やらせる」ためには、ある種の強制力が必要です。その背中を押すのが、まさに上司の役目なのです。

 

部下に成長してもらうことは、経験してもらうこと

さて、部下に成長してもらうこととは、経験してもらうことと言えます。

実際にやってみることと、頭の中でイメージしていたこと(これは他人からの情報や、それに基づく自分の想像のことですが)には、大きなギャップが必ずあります。

このギャップこそ、経験しなければ分からないことなのです。

経験することによって、まずは、自分は知らない、できないということを自覚し、次いで、何を知り、何をできるようになるべきかが分かってきます。

それに対して自分が、自ら工夫し、乗り越える努力をすること、これがまさに成長に繋がるのです。

 

部下にどうやらせるか

では、上司として部下に「やったことのない仕事」をどうやらせるかについてです。

 

少し高いハードルを設定する

「未経験」の仕事では、現在の地力よりも少しハードルの高い仕事、可能であればひとつ上のポジションの人がやる仕事をさせると良いですね。

そして、事前にどこまで指導するかですが、いきなりノーヒントは無茶すぎます。

だからといって、1から10まで、全て教えると「やらされ感」が出かねません。

(それ以上に、「何でもかんでも教えてもらえる」と勘違いしかねません・・・)

やはり最初に、70%程度を教え、残りの30%を自分で考えさせることが大事です。

部下にとっては、おそらく「どこまで理解できていて、どこから理解できていないか分からない」というモヤモヤした状態です。

この落ち着かない気持ちこそが、適度な緊張感となり、成長に繋がるのです。

 

履行確認とHELPへの対処

部下が仕事に取り掛かった後は、上司はしっかりと履行確認し、部下からHELPが出れば、適切に対処していきます。

(適切というのは、状況に応じた対応という意味で、何でもかんでも手助けをすれば良いということではありません)

こうやって、仕事が一回りした後、振り返りを一緒に行うこと。

さらに、できれば同じような仕事を2回か3回、繰り返させてあげると良いですね。

理由は、1回目での気付きを2回目に反映させること、つまり、PDCAを回させることにありますが、同じ仕事を繰り返すことで定着させられるし、続けることの大切さを分からせることもできますから。

以上のことを何度も繰り返すことで、部下に業務を実行できる能力を身につけてもらえるのです。

 

部下に期待しすぎないこと

最後に、上記に相反することですが、「部下に対して期待しすぎない」ことも大切です。

通常、部下の能力から「これくらいは出来るだろう」と結果のレベル設定をします。

ところが、部下に対する期待が大きすぎると、意識しないうちに上司の「自分だったらこれくらいできる」が判断基準になってしまうのです。

つまり、「これくらい」が、部下にとっては、大変高い「こ~んなくらい」に変化してしまう、ということですね。

すると、高いレベルの結果を期待し、途中での指導内容は難しく、厳しすぎるものになります。

こうなると、部下はやる気をなくしてしまうし、場合によっては、出来ずにギブアップするかもしれません。

一方、部下がとても良い結果を出したとしても、上司にとっては「ものたりない」もので終わってしまうのです。

部下の成長のために、過剰に期待しすぎないことを意識していきたいものです。