そもそも、社内調整ってなに?
仕事における「社内調整」とは、通常は、「いろいろな意見をすり合わせて一本化する」ことです。
スケジュール調整のように、ある程度決まったものを周知し、それに合わせた行動を取るといった軽いものもあれば、意見調整のように、対立する複数の意見から、より良いものを選び出す、あるいは、各々の良い点と妥協点を見出して、すり合わせながらくっつけていくといったものまで、さまざまなレベルがあります。
会社の中で仕事をしていくうえで、社内調整は得手不得手は別にして、避けて通れない関門のひとつと言えます。
社内とはいえ複数の立場が存在する以上、全ての利害が一致していることは、まずありませんので。
そのため、すり合わせるためには、時間と労力が必要であり、何よりストレスが溜まるものです。
本質的でない不毛の議論が・・・
社内調整でやっかいなのは、意見調整の場なのに、関与者の面子(メンツ)と言ったものが、一番に優先されてしまうケースです。
こうなると、真っ当な議論にならない。
そもそも社内調整では、良いアウトプットを出すために、共同で最善のプロセスを作る、ことが目的です。
にも関わらず、自分の意見を押し通せたか、相手の意見を採用せずに済ませたか、相手がこだわっている大切なところを潰せたか、といったことに意識が集中してしまう。
こうなると、社内「調整」が関与者同士の勝負事になって、そこで「勝つか、負けるか」が目的になってしまっているのです。
本質的ではないことで潰しあう、不毛の議論としか言いようがない実につまらない話ですし、建設的に話を進めたい人にとって、とてもストレスがたまります。
しかし、こういった事態は、会社の中でよく起きる話なんですよね。
私自身、管理部門での仕事が長かったため、常に社内調整という業務がついてまわりました。
人の意見を聞けない・理解できない、自分の主張を一切曲げない、ポジション(社内の役職)によって声の大きさを変える、日によって言うことが変わる、相手によって態度がコロコロ変わる、はじめっから喧嘩腰、・・・、いろいろなやりにくい相手がいます。
こんな人たちを相手にするのは、本当に面倒くさし、ストレスフルです。
ちょっとでも気に入らないと、すぐに感情的になるし、結果が自分にとってよろしくないと、いつまでも根に持たれるし・・・。
社内調整で大切なこととは
さて、社内調整でもっとも大切なこと、それは調整する人が
主体性を持つこと
と言えます。
主体性とは、自らが中心となって、その意思と判断で行動すること。
自分が発案者の場合は、主体性を持って事に臨みます。そして、主体者には一定の権限と同時に責任と義務がくっついてきます。
ここで大切なのは
「権限を役得とせず、責任と義務を重く受け止める」
ことです。
社内調整が面倒くさい 理由は、「面倒くさい相手に対して時間と労力を使う」ことにあります。
そのストレスとともに、結果として
「発案者ではない者の意見を押し付けられ、自分の意見を曲げなければならない」
というストレスを受けるから、と言えるでしょう。
裏を返すと、自分の「発案者ゆえに持つ権限に干渉される」ことを嫌がっているということになります。
これは意識するしないに関わらず、発案者として「独善」に陥っているのです。
そして、「案を成功させる、そのためにより良い意見を集約する」という責任と義務を軽視しているのです。
自分の好き勝手にしたいと言う気持ちが、社内調整を面倒くさいものにしているわけで、知らぬ間にやっかいな調整相手と同じことをやっているのです。
社内調整の意味を捉えなおしてみる
さて、ここで「社内調整」を、
自分が達成したい目的・目標を実現するため、他者(相手方や協力者)の理解と助力を得ること
と捉え直してみたらどうでしょうか?
すると、意見調整は、「自分の意見を押し付ける」ことから、調整相手の「良い意見を引きだす」ことに変化します。
どこかのパートをやってもらう際に、「指示通り動かす」ことから、「相手に、そのスキルとノウハウをより良く発揮してもらう」ことに変わるのです。
これがまさに「主体性を持って調整を行う」ことなのです。
調整される側になったとき
また、社内で調整をされる側となった場合も、同じく主体性を持つと良いですね。
自分が関与するパートを、他部門からの頼まれ事ではなく、自分が責任を持って主体的に行う仕事と考えるのです。
「決められたことを決められた通りにこなさなければならない押し付けられたつまらない仕事」ではなく、「自らが行っていくべき仕事」に変わります。
すると、「より良いものにしたいという欲」が出てくるので、調整の際に、自分のメンツや楽をしようと言った後ろ向きの姿勢から、建設的な姿勢に変わってきます。
当然、結果に対しても、強くコミットしますよね。
あわせて、直接には関与できないパート、ひいては施策全体に対する当事者意識が高まっていきます。これは、仕事の幅が広くなっていることを意味します。
仕事が面白くなります。
こういった流れが積み重なってくると、もっともっと仕事が面白くなってくるのです。
同時に、自身の能力も信用も高まっていき、さらに面白い仕事にめぐり合うチャンスが広がっていくのです。
まとめ
どんな会社でも、頭の固い分からず屋は少なからずいます。
そんな人たちを相手に、「勝ち負け」の姿勢で社内調整を行ったところで、不毛の議論となるばかり。
ここはひとつ、「主体性」を持って、相手の良い意見を引き出し協力を得るというスタンスで臨みましょう。
これによって、あなたの手で社内調整を建設的な場に変えることができるはずです。
では、また。