人生とは劇場であり、一人ひとりはそれぞれが与えられた役割を演じている。
人が生きていくことをこのように表現した人がいます。
たしかに言われてみれば、日々の暮らしや仕事において、人は自分がやりたいことだけをやれるものではなく、その立場でやるべきことをやっている場面のほうが圧倒的に多いもの。
つまり、自分の役割を演じていると言えますよね。
「人生劇場で与えられた役割を演じる」と考えると、なんだか味気ない気がしますが、この考え方を理解して、場面・場面での自身の役割をバランス良く演じていければ、人生はすごくハッピーになるという学説があります。
それは
「ライフ・キャリア・レインボー」
という理論なんです。
こちらでは、「ライフ・キャリア・レインボー」について、記していきます。
「ライフ・キャリア・レインボー」とは
ドナルド・E・スーパーというアメリカのキャリア研究家がいます。
様々なキャリア理論を体系的・包括的に研究された大御所です。
今日、ご紹介したいのは彼が提唱した「ライフ・キャリア・レインボー」という理論。
概要をかいつまんでお話しすると、
- 人生における役割は、複数あり、同時に様々な場面で演じられるもの
- この役割は、個人がいかようにも組み合わせられる
- 人生で味わう満足感やストレスは、自分の役割の数や組み合わせに直接関係していることが多い
- 人生とは役割を選び組み合わせることで、自己概念を実現しようとする試みである
となります。
*自己概念とは、「自分は何者か?」「自分はどういう存在であるか?」といった自己イメージのこと
「ライフ・キャリア・レインボー」の具体的な意味
これを図に示したのが、下の「ライフ・キャリア・レインボー」です。
出典:http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/0803/27/news149_2.html
「ライフ・キャリア・レインボー」で言わんとしていることを再度、具体的に書くと、
- 一人の人間でも、家という場面では「家庭人」であり「配偶者」、職場という場面では「職業人」などの役割が同時にあって、それらを演じている
- 豊かな人生を送るためには、このバランスが大切
- もし、今、不満があるとしたら、役割の組み合わせが良くなかったり、役割の重さのバランスが良くない可能性が高いので、見直す必要がある(かも)
ということです。
図では、各役割が同じ幅で描かれていますが、役割の占める分量が大きければ、その幅は広くなると考えるとイメージしやすいと思います。
例えば、40歳の働き盛りだと、「職業人」の幅が広く、「市民」「子ども」の幅が狭くなるのが一般的でしょう。
ところが、あまりにも仕事が忙しすぎると、「家庭人」や「余暇を楽しむ人」の時間が取れず、不満がおきる。
あるいは、親の介護が必要な場合、「子ども」の役割が拡大しすぎて、他の「役割」を圧迫する、などですね。
このように、自身の価値観に基づいて、同時に複数ある役割のバランスよく保つことが大切だと提言しています。
人生劇場で役割を演じる
さて、ここで、「おもしろいな」と思ったのは、場面を「アリーナ(arena=舞台)」と呼び、役割を「演じる(play)」と表現していることです。
私の発想では、役割は「果たす」ものであり、人生は「舞台」ではなく、まさに「人生そのもの」で、”重い”捉え方になっているのですが・・・。
もし、スーパーのように、生きることを
「自分の人生劇場で、いろいろな役割を演じる」
と表現できると、肩の荷が少し降りるのかもしれませんね。
<参考書籍>
では、また。