「キラーストレス」、実に物騒な名称です。
ストレス反応の暴走が、「脳出血」や「心不全」を引き起こし、また、遺伝子を操作して「がん」を進行させる。さらには、「突然死」引き起こすことも。
このように、人の命を奪いかねないストレスを「キラーストレス」と称しています。
先日、NHKで放映された「キラーストレス」。
その発生から影響、そして、対処法まで、非常に興味深かいものでしたので、その内容をかいつまんでご紹介します。
まずは、キラーストレスが引き起こす体と心への悪影響について。
現代のストレス
何万年も昔、人類が文明を手にする前は、野にいる獣は狩猟の対象であるとともに天敵でした。
当時、人は獣と出くわしたときにだけストレス反応をしていました。
ところが、現代はさまざまなストレスに、常に、複数、晒されています。
さらに、人は「マインドワンダリング(心の迷走)」と呼ばれる、過去や未来を想像して心配することも。 あれこれ考えて、心が蝕まれるということです。
現代のストレスを大きく区分すると以下の2つ。
「頑張る」ストレス
・・・仕事のノルマに追われ続けるなど。ストレスホルモン(アドレナリン)が出て、心臓血管系など「体」の反応を示す
「我慢する」ストレス
・・・嫌な上司と毎日と顔を合わせるなど。ストレスホルモン(コルチゾール)が出て、落ち込み・不安など「心」の反応を示す
また、都会地に住む人ほど、刺激が多すぎてストレスに関する病気になりやすいとのことです。
ストレスが関係する病気
ストレスが関係する病気は、概ね以下の通りです。
- じんましん・アレルギー
- 胃炎
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
- 脳卒中・心筋梗塞
- 糖尿病(ストレスホルモンが血糖値を上げる)
- エコノミークラス症候群(血栓が作られやすくなる)
- うつ病
1~6までが「体」の病気、7が「心」の病気という区分でしょうか。
ストレスによる「体」の病気
ストレスに対する体の反応
危険な目にあると、人の身体は、
- 心拍数が増加する
- 血圧が上昇する
- 血液が固まりやすくなる
という反応をします。
これらは、身の危険を察知したり、怪我することを想定し、血の巡りを良くして身体の反応速度を高めるのと、出血時の被害を抑えるための準備なのです。
まさに、「天敵である獣と出くわし、それと戦うときのための反応」、つまり、生き残るための反応だといえますね。
血管破裂、脳出血、心不全など
上記の反応は具体的には、
- 危険を察知すると、脳にある「扁桃体」が反応し、身体に指示を出す
- 「副腎」が「ストレスホルモン」を出し、心拍数を増やし、血液を固まりやすくする
- 自律神経が血管を締めあげて血圧を上昇させる
というメカニズムに基づきます。
そして、過剰に反応し過ぎると、血管破裂、脳出血、心不全などを引き起こすのです。
がんを攻撃しなくなる
体内には、がん細胞を攻撃する免疫細胞があります。
この中には「ATF3遺伝子」というのがあり、通常は「OFF」になっているのですが、ストレスホルモンが増えると「ON」になり、免疫細胞が、がんを攻撃しなくなるというものです。
これによって、がん細胞が増殖してしまいます。
ありふれた細菌が血管を破壊する
口内にあるごくありふれた細菌は、歯茎の出血などで血液に混じりこみ、血管内に住み着いているそうです。
通常は特に問題ないのですが、ストレスを受けることによってストレスホルモンが血液中に流れると、血液の中の鉄分が切り離されます。
これを栄養にして細菌が大増殖し、血管の壁を破って大出血を起こします。
これが、大動脈などで起きると、大出血となり突然死になってしまうというものです。
ストレスによる「心」の病気
ストレスによる「心」の病気として、うつ病があげられます。
その発症のメカニズムは、以下のとおりとされています。
- 恐怖や不安を感じると、脳の「扁桃体」に伝わる
- 「副腎」から「コルチゾール」というストレスホルモンが出る
- 「コルチゾール」は心臓の拍動を早め、血圧上昇などのストレス反応がでる
- コルチゾールは、最終的に脳で吸収され、これが高まると脳の一部(海馬)を破壊する
- うつ病になる
おわりに
ストレスと聞くと、うつ病か胃炎をイメージしていましたが、これらと同等、または、それ以上に血管系のリスクがあるというのがわかりました。
ストレスのダメージが大きいと「キラー」と言われるくらい怖いもの。
気をつけたいですね。
では、また。