クレーム電話対応のコツ。突然の苦情を上手に乗り切る具体的な方法

突然クレーム電話がかかってきたら、どうしよう・・・。ちゃんと対応できるか自信がない。

電話でお客様を怒らせてしまったけど、どこが問題だったんだろう・・・。

クレーマーからの電話を受けてしまったら、どう対応すればいいのか?

このようなクレーム電話で悩みや心配がある方に、ぜひ、お読みいただきたい記事です。

 

 

こんにちは。

今回は、イレギュラーな電話対応として、「クレーム電話」を取り上げます。

クレーム電話への対応は、ビジネスマナーとしてはもちろんですが、企業のリスクマネジメントの観点から、とっても重要です。

対応を少しでも間違うと、すぐに大きな問題に発展する恐れがあるからです。

 

クレーム電話への対応方法については、ほとんどの会社でルール化・マニュアル化されているでしょうし、入社して日の浅い新入社員に、いきなりハードな電話対応をさせることは、まず、考えにくいことです。

でも、仕事をしていたら、かかってきた電話は受け取らなければなりません。

それが、たまたまイレギュラーな内容だったとしても、初めの対応は、電話をとったあなたがやらざるをえないですよね。

 

本エントリーでは、クレーム電話対応のコツを、特に新入社員や入社してあまり時間が経っていない人に役立ててもらえるようにまとめてみました。

まず抑えておくべき基本知識として、内容を理解いただければと思います。

もちろん、それぞれの会社でルールが設定されている際は、そのルールに従った対応をお願いしますね。

 

 

慣れるまでの基本的なクレーム電話対応

仕事をしていると残念ながら、いきなり、

  • 怒鳴りつけてくる
  • 罵詈雑言を浴びせかける
  • 人格否定をしてくる
  • 脅迫まがいの口調でまくしたてる
  • こちらの言葉に対して常に揚げ足を取ってくる
  • ・・・

こんな理不尽なクレーム電話がかかってくることがあります。

 

「冷静な対応」が望ましいのですが、心の準備が出来ていないときに、いきなりこんな電話を受けると、慣れている人でも動揺しますよね。

まして、新入社員や経験の浅い若手の社員なら、なおさらです。

 

どうしても手に負えないときは、周りにいる先輩に「助けて」のサインを出すしかありません。

でも、電話を替わってもらうためには、こちらの意見は言わずに、できるだけ相手の言っていることを、大きな声で復唱しましょう。

これによって、「自分が困っている」ことを周囲に察知してもらえますし、会話の内容が多少でも分かってもらえるので、交代者の人選や、替わった人の対応の手助けとすることができるからです。

 

ただし、いつまでも助けてもらえるものではありません。

特に「真っ当なクレーム」にもかかわらず、逃げ腰ですぐに助けを求めるようだと、ビジネスパーソンとして成長できないですし、周囲からも「ダメな奴」との烙印を押されてしまいます。

どのレベルになっていればどこまで対応できるのか、これは一概には言えませんが、まずは「逃げない」という心構えと「対応できるようになる」という気持ちは大切ですよ。


 

クレーム電話とは

クレーム電話には、大別すると、

  1. 商品・サービスに対する意見・苦情
  2. 事業活動に関する意見・苦情
  3. 社員の素行等に対する意見・苦情

の3つがあります。

1は消費者(ユーザー)から、2と3は消費者を含む一般生活者からの電話となります。

なお、お得意様・お取引先等からのクレームは、原則、担当者指名の電話となりますので除外します。

いずれも、電話のたらい回しと、保留で長時間待たせるのは絶対NG、素早い対応が求められます。

 

商品・サービスに対する意見・苦情

基本的には、何らかの不具合が発生したためにかかってきた電話です。

「使用方法が分からない」というケースを別にすると、不具合の原因がお客様側にあるのか、会社側にあるのかは不明です。

しかし、クレーム電話をかけてきたお客様は、まず間違いなく「会社側にある」と思っていて、感情的に電話してくるケースも多々あります。

この場合の対応のポイントは、以下のとおりです。

 

謝罪はするが、やみくもには謝らない

お客様は、まず「謝る」ことを要求しているので、何らかの「お詫びの言葉」は必要です。これが無いと、話が進まないどころか、余計にこじれていきますので。

ただし、責任の所在がはっきりしないのに会社の非を認めるような謝罪はすべきではありません。

そこで、

「この度の件では、ご不便をおかけしております」

「ご不快な思いをさせて、申し訳ありません」

などと答えるとよいです。

お客様は、好き好んでクレームの電話をかけているわけではありません。

どうしても、電話せざるをえない状況、つまり、自社がきっかけで何らかの不便・不快を感じているわけですから、それに対しては謝罪すべきとも言えます。

ただし、ストレートにそう言ってしまうと、「謝る方向が間違っている」となりますので、上述のように、何に対して謝っているのかを、ぼかした言い回しを用います。

通常のクレーム電話であれば、ここから話を進めることができます。

なお、はじめに謝ったときに、「なんだ、その謝り方は?」となると、クレーマーである可能性が高まります。その場合は、先輩に交代してもらうことを考えてもよいでしょう。

 

折り返し電話することを提案する

また、こちらから電話をかけ直すという提案をするのも有効です。

一度、電話を切ることでお客様にクールダウンしてもらうのとともに、相手の氏名や連絡先等を把握できるからです。

言いぶりとしては、

「電話代をご負担いただくのも恐縮ですので、当方からかけ直させていただきたいのですが」

というといいですね。

ただ、いきなり提案すると、「逃げてるのでは?」「本当にかけ直してくるのか?」と思われますので、相手の話をある程度聞いてから、提案するようにしましょう。

 

相手の話をじっくりと聞き、状況を把握する

とにかく、相手の話を聞くことに徹します。

「ご気分を害されているところ大変恐縮ですが、お話を詳しくお聞かせいただけますでしょうか?」

しゃべり尽くすまで、しゃべってもらうくらいの気持ちで聞き、話し終わったところで、不明点を質問します。

そして、状況等がはっきりした段階で、相手の言い分を当方から整理して伝え、把握した内容に間違いがないかを確認してもらうのです。

途中で、相手の話をさえぎって質問したり、こちらの意見を言ったりするのはNGです。

まして、相手に問題があると反論するのは、絶対にやめましょう。

火に油を注いでしまいますから、ね。

 

今後の対応について、提示する

その場で即答できないことについては、改めて連絡することになります。

「事実関係を調査して(しかるべき部署と相談し)ご返事をいたします」

商品であれば、現物を預かる必要が発生するかもしれません。その際はルール(送り場所、送り方。場合によっては、自宅まで訪問回収もあり。運賃の扱い。預かり商品の処分方法等)の提示が必要です。

また、返事も電話か郵送か、相手の希望を聞く必要があります。

ここで重要なのは、できることとできないことをハッキリと伝えることです。

あやふやに答えたり、苦し紛れに「できます。やります」と答えないこと。

これを間違えると、2次クレームになったり、相手の要求がエスカレートすることになりかねません。

 

あまりに理不尽な場合

理不尽な要求や、人格否定などの暴言に対しては、

「この会話は録音させていただいております」

の一言が効く場合が多いです。

ですが、本当に録音していないと、「だったら今、録音したものを聞かせてみろ」と言われたときに、とても困りますよね。

そこで、

「もう少し穏やかに(冷静に)お話していただけませんか」

人を侮辱するような言い方(物騒な言い方)は、おやめください

と伝えます。

それでも変わらなければ、

「人を侮辱するような方(物騒な事を言う方)とは、これ以上お話は出来ません。電話を切らせていただきます」

と言って電話を切ることもありかと思います。

もっとも、相手がそんなレベルであれば、すでに先輩に電話を代わってもらっていると思いますが・・・。


 

事業活動に対するクレーム

事業活動に対するクレームも、たくさんあります。

 

業界に特有のクレーム

「業界に特有のクレーム」は多岐にわたっています。

例えば、自動車会社に対する交通事故や排気ガス問題、電力会社に対する原子力発電所問題など。

たばこ、アルコール、食品、薬、・・・、電鉄会社に対する「開かずの踏み切り」なんかもありますね。

全ての業界に対して、特有のクレームが必ずある、と言っても過言ではないでしょう。

 

会社特有のクレーム

「会社特有のクレーム」もあります。

リコールや、不良品発生に伴う商品回収が起きた場合はもちろんですが、ブラック企業と評判が立っている会社に対するもの、○○という経営者が嫌いといったものもあります。

中には、

「今、放映されているCMは不愉快だから止めろ」

「不祥事を起こしたタレントを使うな」

っていうのもあれば、

「○○みたいな下品な番組に提供するとは何事だ!不買運動を起こすぞ」

というのもありますね。

 

近隣住民等からのクレーム

上の2つは、かなり大きな話ですが、もっと身近なクレームもあるのです。

その最たるものが、事業所に対する近隣住民からのクレーム

  • 深夜まで電気が点いていてまぶしい
  • 社員の声がうるさい
  • 我が家を覗き見している社員がいる
  • 車の出入りが激しいので、子どもが安心して遊べない
  • トイレから悪臭が漂ってくる
  • 敷地内の雑草が伸びすぎ

日常生活に対して、近隣に迷惑をかけているものが多くなります。

(地域住民とはいっても、いろいろな人がいますので、中には、思い込みや言いがかりのようなものもありますが・・・)

 

事業活動へのクレーム対応

これらへの対応は、基本的には上述の消費者対応と同じで、相手の話を丁寧に聞いた上で、必要に応じて事後対応や関係部署への引継を行うこととなります。

ただし、近隣住民等からのクレームについては、自身が所属する事業所で完結させることが前提になるでしょう。

そして、相手が相手だけに、慎重かつ丁寧な対応が必要です。

電話で済ますのではなく、訪問して話を聞くべきです。

社員の素行等への意見・苦情

「 社員が不祥事を起こし、実名報道される」となったら大変な騒ぎですね。

そこまでいかなくても、身近に起きるものとしては、

  • お宅の社員が飲み屋で大騒ぎしていた
  • 通勤中に歩きたばこをして、ポイ捨てをしていた
  • 会社のマークが入っている営業車が、パチンコ店の駐車場にとまっている

などなど。

なかには、個人を名指ししてのクレームなども発生します。

こちらへの対応も、基本スタンスは「ていねいに聞く」ことですが、社員に関わることですので、早めに管理職の上司に引き継ぐのがよいでしょう。

 

注意したいこと

さて、ここで、注意したいことは、「社外で軽々しく会社の話をしない」ということ。

毎年、4月になると、交通機関や飲食店で、真新しいスーツを着てキャリーバッグを引っ張っている団体を見かけます。

入社式や新入社員研修を受けている人たちですね。

大変フレッシュでよろしいのですが、電車や飲み屋で一緒になると、大きな声で話をしているのがすごく気になるんですよね。

パッと見だけで、どこの会社の社員かがわかる社章をつけ、会社名の入った紙袋を持っているにも関わらず、会社のことを声高に話す人がいるのです。

 

社名を言ったり、人事担当者の個人名を出したうえで悪口を言ったり、

「ウチの会社ってブラック企業じゃね?」

とか、

「俺たち、いきなり社畜になってるよな」

とか・・・。

 

言いたい気持ちも分からなくはないですけどね。

公然の場で話すにはふさわしくないですし、内容によっては、情報管理不徹底となります。

そして、このような言動が「クレーム」として、通報されることがありますのでご注意ください。

(これらは、新入社員に限ったことではないですが・・・)

 

また新入社員の方なら今後、リクルーターとして、母校の就活生と、喫茶店等で面談することもあるでしょう。

「お宅の社員が、先輩風をふかせて、エラそーに説教していた。隣のテーブルに座っていたが、実に不愉快な思いをした」

というクレームもあります。

(これも私が実際に受けたクレームです)

 

なかば、言いがかりに近い話ですが、こんなのもあるということは、知っておいてよいでしょう。

会社によっては、事情聴取され、さらに何らかの注意・処分されることもありますので。

くれぐれも、クレームの対象にならないよう気をつけてくださいね。

 

クレームとクレーマー

クレームそのものは、決して「悪」ではありません。

特に商品・サービスに関するユーザーからのクレームは、「宝」と呼ぶべき情報であり、今後の事業に活かしていくという考えが主流です。

一方、悪質なクレーマーがいるのも事実です。これは、もはや「お客様」ではありません。会社のクレーマー対処法に則り、組織として対応すべきです。

 

問題は、真っ当なクレームを言ってきているのに、適切な対応を取らなかった結果、ユーザーを怒らせて、クレーマーに変身させてしまうということ。

自分自身がユーザーの立場であれば、それがどれだけ腹立たしいか、よく理解できますよね。

やはり、初動対応、中でも一発目となる電話対応は、とても重要です。

会社勤めをしていれば、避けては通れないことですので、会社のルールに則って、しっかりと対応できるよう自力を高めていきましょう。

 

それでは、また。