長男のアルバイト観とブラックバイト先との交渉でわかったこと

我が家のルール

私には大学に通う2人の息子がいます。

長男が生まれて以降、私の細いスネは、ずっとかじられ続けているのですが、それも残すところ後少しとなりました。

大学に通うにあたって、2人の息子には以下のことを伝えています。

  1. 学生の本分は勉強。まずはそれを第一優先とすること。
  2. 食と住(ときどき衣も)の生活と学費等の面倒は見るが、小遣いは渡さない。遊びなどで必要なお金は、自分で稼ぐこと。
  3. 大学卒業後は、家から出て自立すること。

1は、どうせまともに勉強などしないとは分かっていますが、一応、親のポーズとして伝えており、3は、いつまでもダラダラと居つかれると鬱陶しいので、今のうちから釘をさしているのです。

で、ポイントは2。要は「アルバイトをしなさい」ということ。

自分が遊ぶお金は自分で稼ぐ、(ちゃんと学校に通うことは前提ですが)やりたいことがあるなら、自分の責任でやりなさいということです。

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私のアルバイト観

「小遣いは自分で稼ぐ」というのは、我が家の経済的問題がひとつの理由ですが、アルバイトをすること自体、本人たちにとって大きな経験になると考えているからです。

言うまでもなく、「働いてお金を稼ぐ」のは、とても大変なことです。

お金をもらう以上、バイトであっても、相応の義務と責任が付いてまわります。

イヤな思いをすれば、しんどい思いもします。

とはいえ、学生バイトという比較的自由な立場。

本人さえその気になれば、短期間で多くの仕事を経験することもできるわけです。

いろいろな仕事を知り、いろいろな人間がいることを分かり、理不尽な思いもして。

こういったことは、実際に社会に出るにあたっての「判断材料」となり、出て以降の「免疫」になります。

まさに、お金をもらって勉強できる、といったところですね。

そこまで至らなくても、少なくともお金を稼ぐことの大変さと、お金の価値(ありがたみ)は分かると思うのです。

私自身、貧乏な学生時代を過ごしましたし、最終学年時は家庭の事情で、自分で学費を捻出せざるを得ませんでした。なので、様々なアルバイトをしたのですが、その経験がかなり役に立ったと思っているのです。

長男のアルバイト観

長男が大学に入学してしばらくしてから、上述の3つのルールの話をしたところ、かなり不服そうな顔をしたのです。

「何か気に入らないのか?」と尋ねたら、

「卒業したら、何十年も働かなければならないのに、学生の間から働く必要はないと思う。そもそも大学という貴重な時期に、バイトで時間を使うのはもったいない」

と答えたのですね。

まぁ、言っていることにも一理あります。

学生時代でなければ出来ないことが多々あるのは事実。バイトで汲々になってやりたいことが出来ないのは、もったいないという気持ちも分かります。

ただ、学費や生活費を稼がなければならないくらい金銭的に厳しい状況でなければ、そこまでバイトに時間を費やす必要はないはず。

うちの長男に限って言えば、明らかに「働きたくない」ので、理屈をこねてきたというのが見え見えでした。

(高校時代に2ヶ月ほどバイトをしていた際、ずーっと「いやだいやだ」とグチを言っておりましたし、学校の友人たちは、バイトをやっている・いないに関わらず、ほぼ全員、親から小遣いをもらっているとのことでしたので)

そこで、

「バイトをやる時間がもったいないくらい、やりたいことがあるんだったら、それをやれば良い。ただ単に働きたくないからバイトをしないというのも、それはそれで良い。

どっちにしても、お小遣いはあげないから、そのつもりで」

と答えました。

長男のバイト遍歴

しばらくは入学祝金などがあったので、それで過ごしていたのですが、夏ごろには底をついたようで、渋々ながらバイトを始めました。

ところが、行くところが、立て続けに「おかしなところ」ばっかりだったのです。

割りに合わない家庭教師

早々に見つけてきたのが、家庭教師。

一般的には高額バイトですが、「見習い」というのもあったのでしょう、普通のバイトに毛が生えたくらいの時給だったのです。

しかも、教えるのは双子で「2人同時にやりなさい」といったもの。実質的に2倍働くというものです。

1回2時間、自宅から相手先まで片道1時間以上かかるので5時間程度の拘束となり、時給換算すると、600円を切る始末。

半年ほど続けていましたが、あまりに割が合わないということで、お願いして辞めさせてもらったのです。

客層の良くないコンビニ夜勤

次に行き始めたのが、超繁華街のはずれにあるコンビニ。

具体的な地名は差し控えますが、とてもガラの悪いところ。そこで夜勤を始めました。

「なんで、そんなややこしいところで働くんだ?」と聞くと、

「時給が良いから」との答え。

「いくら給料が良いからと言って、酔っ払いとか稼業の人とか、おかしな人がいっぱい来るだろ?危なくないか?」

「マジ、やばいよ。毎日、揉め事が起きるし。週に1回は、パトカー呼んでるよ

「で、お前はどうしてんの?」

「客対応は店長や先輩がやってて、俺は危ないから奥に入ってろって言われる」

「あ、そう・・・。ま、ほどほどにな」

すぐに辞めるかなと思っていたのですが、割と長続きしていましたね。

ただ、昼と夜が逆転するのがきつかったようで、ある日「もう無理」と言って辞めました。

ブラックバイト

そして、とあるバイトに入ることになりました。

さほどの知名度はないのですが、関東近県で広く店舗展開しているところです。

コンビニを辞めてから、いくつか応募したものの採用されず、しばらくブランクがあったので、「決まってよかったね」と言っていたのですが・・・、ここが「ブラックバイト」だったのです。

面接のとき、責任者がとても威圧的なうえに、勤務条件に関してはっきりとした説明がなかったとのこと。

どうもおかしいなと感じたので、その時に辞退しておけば良かったのですが、やっと決まったという思いが強かったのでしょう、働くこととしたのです。

ところが、実際に働いてみると、日常的に威圧的な対応をされた上に、明らかに労働基準法に違反することが複数あったのです。

詳細は割愛しますが・・・、当初は分からずに仕事をしていたものの、あるタイミングからおかしいということに気づき、それを店長に確認したそうです。

その時は、のらりくらりと誤魔化され、以降、何度か尋ねても同じ状態が続きました。

どうしても納得がいかないので、ある日、いろいろと調べたことを、まさに正論としてストレートに指摘したのです。

すると逆ギレされたうえに「文句があるんだったら辞めろ」と言われ、「じゃあ、辞めます」となったのですね。

そして、翌月の給料日になっても、それまでの賃金は振り込まれず、督促しても無視されたので、思い余って私に相談してきたのです。

ブラックバイト先との交渉で分かったこと

バイト先が行っていたことは、私としては、初めて聞くことばかりで、びっくりしました。

内容が内容だけに、長男の手に余るだろうと考え、私が交渉することにしたのです。

どのように話を進めようかと確認したところ、「これ以上、関わりたくない。働いた分のお金がもらえれば、それでいい」と言われ、それに沿った交渉を行いました。

相手方と話をした中で本当に驚いたのは、あまりにも「ものを知らない」人間が、経営者的な立場にあって人を雇って営業している、という事実。

特に今回の問題となった労働基準法について、「知らないふりをしている」のではなく、その法律があることすら知らなかったのです。

個人商店ならまだしも、株式会社で広く店舗展開しているところでも、こんなものなんだと、本当にびっくりしました。

一口に「ブラック企業」「ブラックバイト」と言っても、組織ぐるみで確信犯的にやっているところもあれば、今回のように組織が機能しておらず管理者に対する教育・指導が不十分で、結果、品性・知性とも人の上に立つべきではない人間がその立場にいるケースもある、ということですね。

そして、おそらくは、後者の「べきでない人間」が、自分の功名や独断、支配欲などで「稚拙な行動」を取っているケースが多いのではないか、と思いました。

組織の問題であるとともに、それ以上に属人的な問題である、ということです。

これでは、労基法違反が発生して当たり前ですし、「ブラック企業」や「ブラックバイト」と言われる事例が無くならないのもうなずけます。

長男本人にも、「ものの言い方」などに問題があったかもしれませんが、何ヶ月もの間、すごく我慢していたんだなと思いました。

後味は悪いものでしたが、ストレスを溜めすぎておかしくなる前に辞められたのは良かったですし、本当に貴重な社会勉強になったはずです。

あとは、実際に経験したことを、本人がしっかりと身につけてくれれば良いな、と思っています。

 

最後に、未払い賃金は、それ以前の不当賃金との差額と合わせて、交渉の翌々日に振り込まれました。

 

では、また。