部下に仕事を実行してもらうための適切な業務指示の出し方

 

部下にしっかりと仕事をしてもらいたい!

だけど、部下はなかなか思うように動いてくれないし、結果もついてこないといったことはよくある話。

このようにうまくいかないのにはいくつか理由が考えられますが、もしかしたら上司であるあなた自身の「業務指示」の出し方に問題があるかもしれません。

そこでこちらでは、部下に仕事を実行してもらうための適切な業務指示の出し方について記します。

 

業務指示の大前提として上司が行うべきこと

組織において、上司であるあなたの役割は、求められる成果を出すこと、つまり、部下に成果を出してもらえるように働きかけることです。

そのために上司が行うべきことは、

  • 適切な業務指示を出すこと
  • その業務指示を部下に正しく理解させること
  • 部下が業務指示を実行させるために必要な環境を整えること

が大前提となります。

 

 

業務指示をされた部下の目線に立つ

さて、上司として正しく業務指示を出しても、全ての部下がサクサクと動いてはくれません。

だからこそ、工夫が必要なのです。

ここで意識すべきは、「部下の目線に立つ」ということです。

 

部下の反応を想定する

まず第一に、「この業務指示を受けたときに、部下はどんな反応をするだろうか?」とイメージしてみます。

同じ案件であっても、部下によって反応は全く違うことが想像できますよね。

明らかに嫌がるそぶりを見せる部下もいれば、「喜んで!」と反応する部下もいるでしょう。

だからこそ、部下個々人の「能力・性格・価値観」、そして、現在、担当している他の業務の状況をしっかりと把握し、各人に応じた「業務指示」を出す必要があるのです。

 

部下が嫌がると思ったら

「嫌がる」だろう部下には、業務指示の際に、しっかりとした動機付けが必要です。

「なぜ、この仕事をやる必要があるのか」という理由、「この仕事をやることで、本人にとってどんなプラスがあるか」といった部下本人にとっての意味、などなどをしっかりと説明し、納得を得ることが重要です。

そして、嫌がる理由を聞きだし(往々にして、積極的に言いたがらないものですが)、それを取り除く方法を一緒に考えることも大切です。

 

部下が喜ぶと思ったら

「喜んで!」と反応する部下であれば、上司からの「動機付け」はあまり気にする必要はありません。

むしろ、本人から前向きの気持ちや達成したい目標などを言ってもらうことで、自発的に意欲を高めさせるほうが良いでしょう。

ただし、部下の能力や性格から「気をつけなければならないこと」は、具体的に注意しておく必要があります。

このように、部下に対する「業務指示」は、画一的・一方的ではなく、案件の内容と部下個々人の能力や性格などを考えて、それぞれに適した内容にカスタマイズして出すことが大切です。

簡単に言うと、業務指示する内容は同じだけど、部下によって言い方と言う内容を変える、ということですね。

 

部下と関わり続ける

第二に、「しっかりと出来ているかどうかを確認し、必要に応じてテコいれをする」こと、つまり、業務指示において部下と関わり続けることです。

 

部下に働きかける

部下によくある不満として、

「人にアレやれ、コレやれって命令するだけで、本人は何もしていない」

というのがあります。

部下の立場からすれば、上司は業務指示を出すものと分かってはいても、「丸投げ・ほったらかし」だと、仕事に対して「やらされ感」が高まるものです。

 

さらに、上司本人が「業務指示したことを忘れていた」などは最悪で、部下としては一気にやる気がなくなり、上司に対する不満は膨れ上がります。

絶対に避けなければなりません。

これらを防ぐためには、上司から部下に働きかけることが大切です。

タイミングを見はからいながら、上司から部下に「その後、どう?」と声をかけることを忘れないようにしたいものです。

 

進捗報告事項と期限を提示する

とは言いながら、頻繁に「どうなってる?」って聞けるほど、上司には時間はありませんし、部下にとっても変なプレッシャーをかけられているようで迷惑な話です。

そこで、一番最初に業務指示を出すときに、1回目の進捗報告事項と期限を提示しておくのです。

 

例えば、「指示内容を企画書にまとめて3日後、報告に来るように。それまでに迷うことがあったら、いつでも遠慮なく相談に来なさい」と伝えるのですね。

そして、3日後に報告に来た際に、「次は、○○について、実際に取り掛かる前に(または、○月○日に)」という風に、次回のテーマとタイミング(日時)を決めておきます。

その合間に、ポツンと「どう、進んでる?困ったこととか、ない?」と声をかけると、細やかな進捗把握が出来ますし、少なくとも部下の「やらされ感」はぐっと少なくなります。

 

テコ入れ

そして、テコいれです。

出来ていないところを見つけ、なぜ出来ていないのかを考え、それを出来るように手をうつことです。場合によっては、部下に成り代り、上司が対応することもあります。

このテコ入れも、「部下の目線」に立つことが大切ですね。

特に出来ていない場合、「何でこんなことが出来ないのか?!」と叱責してはダメなのです。

 

頭ごなしの叱責は、上司にとってただの憂さ晴らしか、「オレだったら、簡単に出来ているぞ」と裏返して自慢しているだけ。

何の解決にも繋がらないどころか、部下にとっては、気分を損ねたり、重圧になるだけですからね。

同じ意味で、「がんばれ」などの叱咤激励も、やり過ぎないよう気をつけたほうがいいですね。

 

環境を整える

最後に、業務指示において上司に必要なのは、部下が「出来ないことを出来るようにする」ための環境を整えることです。

労力や時間や予算などが不足しているのであれば、それらをどう補えば良いのか、他の選択肢も含めて検討・導入する。場合によっては計画の見直しもあるでしょう。

対外的な折衝において、部下の役職では不十分、であれば、上司が代わりに行ってやればよいのです。

もし、部下がさぼっていて出来ていないのであれば、なぜサボったか、どうすればサボらなくなるのかを、冷静に話し合い、本人から意見を述べるようにすべきですね。

これは、上司から怒鳴られるよりもよっぽど怖いので、効果てきめんです。

 

おわりに

業務指示を出すこととは、組織を運営することです。

一方的に業務指示を出すだけではなく、複数の部下に対して、同時並行的にこのような対応を行わなければなりませんので、上司は本当に大変です。

でも、「部下にしっかりと仕事をしてもらう」、それが一番重要な上司の仕事ですから、やるしかないのです。